「この世界の片隅に」の舞台、軍港「呉」

映画「この世界の片隅に」が、今月で上映開始から丸一年、異例づくめのロングランヒットになっています。
昨今「封切り1ヶ月もてばいいほう」と言われる映画業界で、一年というロングラン自体が異例なのですが、製作段階での資金集めも異例でした。
削りに削った予算2億5000万のうち、3,900万をクラウドファンディングで調達。
3,374人から3,912万円が集まりました。
当初の目標は2,000万円だったそうですから、2倍近いお金が集まったわけです。
結果論ですが、そこにはすでにヒットの予兆があったのかも知れません。

ところで、この映画の舞台となっているのは広島県呉市。
「呉」には他の街にない独特の雰囲気があります。
それは港に停泊しているたくさんの「黒い潜水艦」と「灰色の物々しい船」が醸し出す重苦しい雰囲気です。
その重苦しさは小さい頃、親に連れられて行った時も、最近一人で行った時も変わりません。
昔の軍港は、今でも戦争の影がいっぱいです。
(私の超個人的なイメージです、すみません)

今は、日本中どこの都市に行っても戦争の影はありません。
それは、戦争の影を消すことこそが、「高度経済成長の証し」だったからでしょう。
あれだけの事があった広島市でさえ、平和公園以外では、戦争の影を感じることはありません。
「お好み焼き」と「サンフレッチェ」と「カープ女子」、明るく楽しく元気な街です。

戦争を描いたこの映画の舞台が、ヒロシマではなく「呉」ということに、私はとても興味を持ちました。
私が勝手に戦争の影を感じる「呉」です。
映画は、とても悲しく感動的なストーリーではありますが、初めて教えられることもたくさんあり、悲しいだけの映画ではありませんでした
戦時下でも、人間らしい感情を持ち続ける「普通の人たちの強さ」が描かれているのを見て、すごく救われた気持ちになりました。
自分のおじいさんやおばあさんも、苦しいことばかりじゃなかったんだと

また時間を置いて観たい映画です。

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