業務刷新は、「質」より「量」を優先(先行)する

私たちの会社(製造工場)で、恥ずかしながら、長い間ほったらかしになっていた業務があります。
「個別原価計算」です。
「この製品にいくらの原価がかかって、いくらの利益が出たか」
会社にとって非常に大切な業務であることはみんな分かっています。
それでもその個別原価計算がほったらかしになっていた理由は、
➀全製品がオーダーメイドなので、全製品に異なった原価が発生し、計算量が非常に多い
➁「個別原価計算」をしなくても会社は運営出来るし、会社全体の利益もまずまず出ている
➂そもそも専任の担当者がいない
といった感じでしょうか。

その「個別原価計算」が、最近ようやく継続的・安定的に出来るようになりました。
なぜこれまでそれが出来なかったのか。
過去何度もチャレンジしたのに、都度、挫折してしまったのはなぜか。
それは、「量」より「質」を優先(先行)したからです。

挫折のパターンはこんな感じです。
➀経営会議で、「個別原価計算がやっぱり必要」という話題が出る
➁出来そうな担当者が指名される
➂担当者は本来の業務があるので、残業していくつかの製品の個別原価を試算
➃その試算を管理職たちに回覧すると、あちこちから「計算の精度が低い」、「この数字ではなくあの数字を使え」といった指摘を受ける
➄担当者は休日出勤して計算方法を修正する
➅しかし、回覧するたびに新たな指摘を受ける
➆そんなこんなで計算する製品数を増やせない
➇なんとか計算した個別原価を回覧したところ、「こんなに何ヵ月も経ってからの個別原価なんて役に立たない」と言われる
➈担当者、キレる
➉挫折

この「挫折パターン」のマズいところは、先に「質」(精度)を求めすぎたこと
そもそも、それまで「個別原価計算」をほったらかしにしていた管理職たちが、エラそうにあれこれ指摘する立場にないでしょう。

「個別原価計算」に限らず、ある業務を刷新・定着させようとするとき、優先すべき・先行すべきは、「質」ではなく「量」です。
まずは50点くらいの「質」でいいから、「量」をこなすことを優先して体制をつくる。
その体制が稼働するようになってから、半年から1年かけて、80点くらいの「質」に高める。
早い段階で「質」を求めすぎることが、業務の効率化や刷新を阻害しているケースが結構あります。

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