スッキリしない仕事、それも「正解」

 

会社も個人も一つ一つの仕事をスッキリ片づけて、ストレスなく仕事を進めていきたいものです。
しかしそうもいかないのが現実です。

私たちの取引先の中に、グルーバル展開している大手メーカーがあります。
数年前から部品加工を委託され、徐々に納品量も増えてきました。
下請け仕事ではありますが、単価も悪くありません。
ただ、仕事量の変動が大きく、月によって売上も大きく上下します。

この仕事で利益を出すために、私たちは仕事量を平準化します。
仕事量の少ない月には、来月の仕事を先食いして製造するのです。
半年先までの仕事内容は分かっているので、それを前倒しにして、製造現場をフル稼働させるわけです。

しかし先方はあくまで「ジャストインタイム」
「必要な時に必要なだけ」の在庫しか抱えません。
私たちが前倒しで作った部品は、納品させてもらえないのです。

先方は「ジャストインタイム」、こちらは「仕事の平準化」。
相容れないテーマです。
そこで毎月のように先方と交渉することになります
「今月の売上は少ないから、完成している来月分も一部納品させてちょうだい」
「来月は工数が余る(手が余る)から、別の仕事もちょうだい」

こちらの担当者は毎月毎月のことで、先方と交渉するのに辟易としています。
担当者は社内で、
「先方の言う通りに納品しましょう。
毎月毎月交渉したくない。
毎月ゴタゴタすることなく、スッキリ仕事をすすめましょう
と主張します。
しかしそれは認めません。
相容れない利害関係を抱えて取引を続けていくためには、毎月「押し問答」が必要なのです。
「押し問答」がなくなったら、向こうの「押し」がさらに強くなります。
スッキリする必要はありません。
時と場合によっては、スッキリしない仕事も「正解」なのです。

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