ネット販売にも、強力な「接客」がある

私が財務でお手伝いをしている会社の中に、ジュエリー(宝石)の加工販売会社があります。
その会社が5年前、ネット販売(EC)を始めました。
その会社の商品の価格帯は平均30万〜50ですので、ライトジュエリーと言われるものよりアッパーグレードになります。
 
私はそんな値段の商品を
①現物を見ないで
②インターネットで(店舗も見ないで)
買うかなー、と当初は懐疑的でした。
 
ジュエリーの伝統的な売り方は、ご存知の通り、ショーケースを挟んで対面販売するスタイルです。
店によっては、一度食らいついたら放さない凄腕店員さんがいたり。
良くも悪くも「接客で売る」のが一般的です。
その接客なしには数十万のジュエリーなんて売れないんじゃないか、と懸念したわけです。
 
結果、私の予測は外れ、そのECは現在月商数千万になり、会社全体の売上の半分以上を占めるようになりました。
「接客なしには数十万のジュエリーは売れないんじゃないか」
という私の懸念は、見事に外れました。
私の最大の間違いは、「接客なしに」の部分でした。
実は、ネット販売でもしっかり接客をするのです。
もちろんショーケースを挟んでではなく、メールを使ってです。
数十万のモノを買おうとするお客様は、さすがにホームページを見ただけで「購入ボタン」をポチッとは押しません。
やはりメールや電話で問い合わせをしてきます。
それに対してメールで応えるわけですが、購入までにお客と何度も「メールのキャッチボール」をします。
 
実はこの「メールのキャッチボール」は、強力な接客なのです。
実店舗で凄腕店員に強烈な接客を受けても、何とかその場を切り抜けて店を出さえすれば、その接客からは解放されます。
しかしメールでやり取りする場合は、お客からの質問にすぐに返答メールを送れば、ボールは常にお客側にあります
大げさな言い方をすれば、お客は24時間このボールを持たされるのです。
つまりお客は、このメールを使った「接客」の中に24時間いることになるのです。
 
もともとSNSなどのネットでのつながりは、実際に会うよりも、気軽なものであるはずでした。
しかし「既読スルー」で多くの事件が起きているように、大半の人がネットでの人間関係に縛られているのです。
 
メールを使ってのお客とのやり取りが、店舗での接客に比べて決して弱いものではないということは知っておく必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)