一番のライバル店に売る、という選択

 

2年近く前に、スーパーマーケットの閉店に関わったことがあります。
そのスーパーは地方の旧市街地にありました。
ただでも周辺の人口が減少する中、郊外に出店してきた大手スーパーに客を取られ、隣に出来たコンビニにも客を取られ、売上はどんどん減少しました。
最後は資金もきびしくなり、万策尽きた状態に。

このまま座して死を待つか。
それとも、少しでも負債を減らすために、店を買ってくれる会社を探すか
しかし儲かっていない店を売ることは、簡単なことではありません。
考えて考えた挙句に決めた策は、「一番のライバル店に売る」ことでした。
長い間客を取り合ってきた、100m先のAスーパーへの売却。
今の今まで戦ってきた相手に、店を売ることを決めたのです。

地元の銀行に仲介してもらい、秘密裏にAスーパーと交渉。
結果、予想以上にすんなりと売却が決まりました。
価格もまずまずでした。
売買完了後、Aスーパーは自店舗を閉鎖し、こちらから買った店舗を改装しました。
2店舗を統合したのです。
Aスーパーのオペレーション能力の高さもあり、現在その統合店は大変な繁盛をしています。

そりゃあそうです。
2店舗が1店舗になり、お客が倍増したわけですから。
Aスーパーは店を買うと同時に、お客を買ったのです。
(従業員も大半継続雇用してくれました)
Aスーパーにとっては、統合後の客数を予測することは、熟知したエリアなので非常に簡単なことだったでしょう。
それだけとってもリスクの少ない買収だったはずです。
この例でも分かるように、実はこちらの店の価値を一番認めてくれるのは、一番のライバル店なのです。

スーパーに限らず、縮小するマーケットでは何らかの統合が必要です。
「一番のライバルに売る」という選択は理にかなっているのです。

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