日本版GPSを、工場で活用する

 

今月19日、人工衛星「みちびき」3号機の打ち上げが成功しました。
「みちびき」は全4基体制で、日本版GPS(全地球測位システム)の構築を目指すプロジェクトです。
来年春、4号機が打ち上れば、4基体制になります。
そうなれば、4基のうち少なくとも1基は常に日本の上空にとどまるため、GPSの精度が格段に上がるそうです。
常時、位置誤差は10cm以内になると期待されています。

これは使えます。
新聞には利用例として、自動運転向けの利用、三次元地図の作成、農機の自動運転などが挙げられています。

先日たまたま、近隣のソフトウェア開発会社の方とお話をする機会があり、この日本版GPSの話題になりました。
その会社は早くから、この日本版GPSの利用を取り込んだ、工業用・商業用業務ソフト開発を進めているとのこと。
その利用例として、私たちの工場を例にとって説明してくださいました。

利用例 ➀ 在庫管理と移動履歴管理
私たちの工場には、大手メーカーから預かった大きな半製品(1個10m以上)が、常時100個以上あります。
その100個の半製品はすべて型が違い、それぞれに付いてくるオーダーに従って加工をします。
ですから、次にとりかかるオーダーを決めたら、そのオーダー番号の半製品を保管場所から持ってこなければいけません。
しかし、なぜかそれがときどき行方不明になってしまいます。
そうなると1万坪以上ある敷地内を探し回ることになります。
→ 今後その半製品をGPSで個別管理するようになれば、半製品が今どこにあるか一発で分かり、探し回ることはなくなります
また、工場内の移動履歴を見れば、加工に要した時間も記録することが出来ます。

利用例 ➁ フォークリフトの効率利用
上の例と似ているのですが、工場内でフォークリフトを探し回ることがあります。
フォークリフトをいざ使おうと思うと、所定の場所に置いていない。
少し待っても返ってこない。
フォークリフトがすぐに使えないことは工場の効率低下に直結します。
それに探し回る時間が加われば、本当に効率を下げてしまいます。
→ 今後GPSで管理できるようになれば、使いたい人がスマホで位置を確認し、探さずに取りに行くことが出来ます
もっと進めば、自動で所定の場所まで戻ってくることも期待できるでしょう。
ルンバみたいに。

この2つの例は、皆さんにとってはピンとこない話かも知れません。
しかし私たちにとっては、非常に有益な話です。
ある人にとっては無益だけど、ある人にとっては非常に有益。
そのギャップこそが、この日本版GPSの可能性を示しているのではないでしょうか。
つまり、精度が高くなることで、自社の敷地内という狭い範囲でのデータ利用が可能になり、利用者それぞれがそれぞれの目的で衛星を使うようになるのです
日本版GPSの利用のルール、またそのコストがどれくらいか、まだハッキリしていませんが、非常に楽しみなプロジェクトです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)