最近のM&A事情、 売りたい理由と買いたい理由

 

先日、証券会社主催の講演会に行ってきました。
講師は、M&A仲介会社の社長さん。
国内のM&A仲介実績№1の会社です。
その会社が扱う案件の大半は、中小企業の売買とのこと。
一昔前、M&Aは「大企業がするもの」というイメージでした。
しかし今は件数だけで言えば、中小企業売買が主戦場なんですね。

「会社を売りたい」中小企業の経営者は、今非常に多いのだそうです。
と同時に、その何倍も、「会社を買いたい」経営者がいるのだとか。

売りたい理由のほとんどは、「後継者がいない」というもの。
しかしこれは、経営者に子供がいない、ということではありません。
「後継してくれる人がいない」
「後継できる人がいない」のです。
売りたい経営者の心情としては
「会社の現状・先行きを考えれば、子供に後継させて苦労させたくない」
というのが実情ではないでしょうか。
会社がピカピカな状態であれば、息子であれ娘婿であれ社員であれ、後継者は自然に出てくるものです。

一方、買いたい理由の大半が、「M&A以外に成長戦略を描けない」というもの。
「他の会社を買収する」 と聞くと、勢いのある会社と元気な社長を想像します。
しかし、必ずしもそうではないようです。
ITなどの成長分野ではない、旧来型の業種の大半は、市場全体の成長が止まっています。
その中で会社を成長させるには、他社の売上を横取りするしかありません
市場で戦って取るか、M&Aで買収して取るか。
比較してリスク・コストの少ない後者を選択しているのです。

つまり、市場全体が成長しない事業環境の中で、「売りたい会社」・「買いたい会社」とも、この先どうするかの選択を迫られているのです。
「やめる」を選択した会社は売り側に回り、「続ける」を選択した会社は買い側に回る。
売り手と買い手の違いは、たったそれだけかも知れません。

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