社員が一番怖れる言葉、「そろそろ課長になるか」

 

地方で製造業を営む私たちの会社では、上席からの「そろそろ課長になるか」という言葉は、社員が一番怖れる言葉です。
冗談のようですが、本当にそれくらい工場で働く社員は、役職者になりたがりません。

早い段階で相当な技術を身につけ、仕事の段取りもよく、周りからも一目置かれる若手のホープ。
そんなホープでさえ、人事面談で「製造課長」の役職の話をすると、表情が曇ります。
彼らの役職者になりたくない理由は、
➀ 部下をまとめたり、
➁ 現場でのトラブルに責任者として対応したり、
➂ 上層部と社員たちとの板挟みにあったり、
そんな「ややこしいこと」に巻き込まれたくないのです。

「出世なんか興味ない」
釣りバカ日誌のハマちゃんと同じです。
ハマちゃんは立身出世欲のない「稀有な存在」として描かれていますが、地方の工場ではごく普通です。
というか、ほとんどがハマちゃんです。

しかしこれは決して悪いことではありません。
みんな「モノづくり」は好きで、自分の技術を高めたいという思いはあります。
自分のところで製造が遅れないように、という責任感も十分あります。
それと出世欲がない分、ハマちゃん的な「人の良さ」があります。

とはいえ会社としては絶対に「課長」が必要です。
ですから、十年に一人くらい現れる「技術があって、会社の運営にも興味がある」、そんな貴重な人材を見逃してはいけません
地方の中小企業では、都会の会社や大企業のように役職者候補が並んで待ってはいないのです。

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