設備投資計画と「法定耐用年数」

設備や機械に投資をすると、その投資額を「耐用年数」で減価償却することになります。
これは商法、法人税法で決められたルールです。
商法上の「減価償却」の目的は、
「設備の老朽化を、その設備の簿価を減額することで、貸借対照表をより会社の実態に近いものにする」
ということでしょう。
一方、法人税法上の「減価償却」の目的は、
「この耐用年数はよく調査して算出した標準的な年数だから、これより少ない年数で減価償却しちゃダメですよ、税金減っちゃうから」
ということでしょう。

会社の会計・税務では、この「法定耐用年数」を使わなくてはいけません。
逆に、会計・税務以外では、「法定耐用年数」に縛られる必要はありません
設備を導入したり管理したりするとき、自社独自の耐用年数を設定しても良いのです。
例えば2,000万の機械導入を検討するとします。

普通の会社A社は、何のためらいもなく「法定耐用年数」で投資回収計画を立ててしまいます。
機械代金 2,000万 ÷ 法定耐用年数 7年 = 年間減価償却 286万

それに対し、強い会社B社は、もっと早く投資を回収したいと考えます
4年で回収して、4年後にはまたその時点の最新鋭の機械に更新したいからです。
機械代金 2,000万 ÷ 自社設定耐用年数 4年 = 年間減価償却 500万

この違いは、機械導入の判断にどのような差を生むか。
A社は、年間286万の利益増を見込めるなら、「導入可」となります。
B社は、年間500万の利益増を見込めないなら、「導入不可」となります。
つまり、強い会社B社の方が投資に対して堅実な判断をすることになるのです。
そうすると、両社の優劣はさらに拡大します。

「法定耐用年数」は会社にとって理想の耐用年数ではありません。
特に新規の設備投資の際は、自社が目指す回収期間を耐用年数としてシミュレートすべきでしょう。

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