銀行員はなぜ書類を改ざんするのか

シェアハウス関連融資で、スルガ銀行が揺れています。
シェアハウスの運営会社「スマートデイズ」が破産、「30年間家賃保証」が不能になり、物件に投資した700人の個人投資家も、破産予備軍状態です。

この件で大きく採り上げられているのは、スルガ銀行の行員の重大なコンプライアンス違反。
行員による「土地売買価格の水増し」や「借主の資産状況資料の改ざん」といった不正です。
このような不正は、当然あってはならないことですが、これまでにもあちこちの銀行で起きてきました。
昨年明るみになった、商工中金の「制度融資悪用」も似たようなものでしょう。

銀行員は、なぜ、どういうときに書類を改ざんするのか。
そのままでは審査が通らないような「不良案件」を通るように改ざんする、と思われがちですが、そうではありません
逆です。
「この案件は焦げ付く心配がない」と思っているから、改ざんするのです。
心配がない案件だから、少し基準に届かない数字があるなら下駄を履かせて、審査をスムーズに通しちゃおう、という感じです。
そんな風に安易な感覚で改ざんしているケースがほとんどでしょう。

銀行員にとって何よりも恐ろしいのは、自分が関わった融資案件が焦げ付いて、その責任を問われることです。
ですから、どんなにノルマに追われても、焦げ付きそうな「不良案件」に手を出すことはありません。
過去からの経緯で、どうしても若干のリスクを含んだ融資を実行せざるを得ない時は、絶対に資料の改ざんはしません
自分の身を守るために。

スルガ銀行にしても、商工中金にしても、多くの行員が不正に関与したと報じられています。
それは、多くの行員が、同時に「この融資は焦げ付くことはない」、「この融資で自分が責任を問われることはない」と考えたということ。
この特異な状況は、銀行自体が一連の融資に「お墨付き」を与える以外には起き得ないのです。

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