今こそ高学歴を生かす時代

今こそ高学歴を生かす時代

今日、世界陸上ドーハ大会で、日本人2個目の金メダルが出ました。
男子20㎞競歩の山西利和選手、50㎞競歩の鈴木雄介選手に続いて日本に金メダルをもたらしてくれました。

山西選手は聞けば京都大学工学部物理工学科卒の23歳とのこと。
今日のテレビ中継中には、何度も解説者・コメンテーターから、山西選手が数ある就職の選択肢を捨てて、この競歩を選んだとのコメントがありました。
みんなが羨む優良企業への就職を捨てて、大好きな競歩を選んだ、と。

そうでしょうか。
山西選手は何も捨ててないでしょう。
大学を卒業するとき競歩を選んだからといって、優良企業への就職ができなくなったわけではありません
例えば、来年東京オリンピックが終わって、山西選手が競技を引退して、超優良企業に就職希望を出すとします。
その時、会社の担当者が、
「あなたは確かに京都大学卒ではあるけれど、新卒ではないので当社の採用の対象にはなりません」
と言うでしょうか。

同じような例。
ある東大生が在学中にベンチャー企業を立ち上げたとします。
5年間懸命に頑張ったけど結果を出すことができず、やむなく廃業、企業に就職希望を出したとします。
その時、会社の担当者は、
「あなたは確かに東京大学卒ではあるけれど、新卒ではないし、しかも一度事業を失敗しているので、当社の採用の対象にはなりません」
というでしょうか。

絶対言いません。
京大卒業後、世界陸上に出場した人材を逃すわけありません。
東大卒業後、ベンチャーにチャレンジして失敗経験を積んだ人材を逃すわけありません。
これは東大・京大卒だからこそ認められる付加価値なのです。
他の大学ではまだ認められないかも知れません。
そして、そういう独自のキャリアを積む東大卒・京大卒の人たちは、頭がいいので、それが付加価値になることくらい自ら分かっているでしょう。

従来は、東大を出れば即官僚、京大を出れば即研究者だった優秀な人材が、卒業後何かにチャレンジする。
それをやり切った後、もしくは失敗した後でも就職はできる。
だから思いっきりチャレンジできる。
これは日本にとっても素晴らしいことではないでしょうか。
必ず将来の日本の可能性の一つになるはずです。

高専のススメ

高専のススメ

 

昨年、知り合いの息子さんが東大に入学しました。
と言っても通常の入試ではなく、神奈川の高専(高等専門学校)から東大工学部への編入試験に合格したのです。
高専から国立大学への編入制度があることは知っていましたが、東大にも入れるんですね。
 
現在、製造業の世界では、工業高校の卒業生は貴重な「金の卵」です。
そうすると高専の卒業生は、中小企業には手の届かない「純金の卵」です。
学業優秀な子が、早くから専門性を身につける、国公立の「高専」は素晴らしい 教育制度だと思います。        
私は昔から、この「高専」がもっとたくさんあれば良いのに、と思っています。
ただそれは、現在ある工業・技術・商船分野の学校を増やすのではなく、他のいろんな分野の高専を増やすのです。
例えば「サービス業」の高専、「小売業」の高専、「観光業」の高専、「農業」の高専、「アニメ」の高専、「カジノ」の高専、などなど。
 
サービス業に関心がある優秀な子が、15歳から5年間、「サービス業」の国立高専で勉強すれば、20歳で貴重な人材として社会に出ていきます。
日本のサービス業は生産性が低い、と言われます。
その問題はサービス業の高専の人たちが解決してくれるでしょう。
 
これから日本が本気で観光立国を目指すなら、クールジャパンを世界に発信するなら、IRを解禁するなら、農業の高度化を図るなら、各分野の国立高等専門学校があってもいいのではないでしょうか。
各分野一校ずつ設立すれば、それは「サービス業の東大」「小売業の東大」「観光業の東大」になるでしょう。
 
東京大学を頂点とした「学問」の山だけでなく、日本中に高専を頂点としたいろんな「専門」の山をつくれば、子供たちは早い時期に自分が目指したい山(専門)を見つけることが出来ます。
そして20歳で各分野の即戦力エキスパートとして社会に出てくれます
そういう高い専門性をもった若者たちがいろんな分野に豊富にいる、そんな日本を想像するとワクワクします。