すべての人に「サード・フェイス」がある

ずいぶん前ですが、テレビで米FBIの元捜査官が日本の未解決事件を捜査する、といった番組を見ました。
米国で数々の難事件を解明した敏腕捜査官。
その方の話の中で、印象的なワードがありました。
「サード・フェイス」です。

こんな話でした。
どんな人間にも3つの顔がある。
ファースト・フェイスは、家での顔 (プライベートの顔)。
セカンド・フェイスは、会社や学校など外での顔 (社会的な顔)。
サード・フェイスは、自分自身の中に潜んでいる顔。

自分の中に潜んでいて、自分しか知らない顔、他人には絶対見せない顔。
元捜査官いわく、難事件のほとんどは、この「サード・フェイス」が引き起こす、とのこと。
他の人には絶対に見せない、見せたくないというくらいですから、サード・フェイスはほとんどの場合「いい顔」ではないでしょう。
過去の経験から生まれたコンプレックスや、生まれながらにもっている性癖が形づくったサード・フェイス。
これが犯罪心理と結びつく、というのは分かる気がします。

また、サードフェイスは、ファースト・フェイスやセカンド・フェイスと真逆の「顔」かも知れません。
普段おとなしい人の中に激しい感情が隠れていたり、快活な人の中に暗い性格が隠れていたり。
いずれにしても、すべての人にサード・フェイスはあるのです。
一見、誠実そうな人にも、不誠実そうな人にも、社会的立場にかかわらず、老若男女みんなに「サード・フェイス」がある。
それを知ると少し楽な気持ちになります
自分の中に共存する、「思いやり」と「意地悪」、「勤勉」と「怠惰」、どっちが本当の自分か思い悩む必要がなくなるからです。
両方あるのが自分なんだと。
自分に対しても他人に対しても、もっと鷹揚になれそうな気がします。

ところで、サード・フェイスにも役割があるように感じます。
サード・フェイスが無かったら、みんな見た目通り、表ウラがなく隠し事がない人ばかり。
まるで「サザエさん」の世界です。
「サザエさん」は楽しいアニメですが、泣くほど感動したことはありません。
もしかしたらこの厄介な「サード・フェイス」が、人間を、人生を感動的で味わい深いものにしているのかも知れません。

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