ジュエリー・ロンダリング

ジュエリー・ロンダリングなんていう言葉は、グーグル検索でも出てきません。
知り合いの貴金属会社の社長から出た言葉です。
「ウチの仕事のメインは、ジュエリー・ロンダリングかな」

「ロンダリング」と言っても、マネーロンダリング(資金洗浄)のような犯罪まがいの商売ではありません。
お客から買い取った宝石を磨き、傷をとり新品同様にし、場合によってはリフォームして別のお客に売る。
今では珍しくもなんともない商売です。

その社長が言いたいのはこうです。
例えば、親から子に、義母から嫁に、祖母から孫に、高価なジュエリーが引き継がれるとします。
それは形見分けであったり、生前贈与であったり。
そういう話を聞くと私たち素人は、「受け継がれる永遠の輝き」みたいな宣伝広告をイメージしてしまいます
だけど現実は違います。
殆どの場合、受け取る側は、ジュエリーは受け取りたいけど、前の持ち主の「思い」まで受け取りたくありません
重すぎます。
だからそれを売って、自分好みの別のジュエリーを買う。
または、ルース(石)だけ残して自分好みの一品モノのジュエリーに作り替える。

社長の言う「ロンダリング」とは、ジュエリーにまとわりついた「思い」や「物語」を洗い流すこと、そうしてシンプルに価値ある「自分のモノ」に変えていくことなのです。
社長曰く、ジュエリーを「物語」と一緒に引き継いでいくのはロイヤルファミリーだけだと。

確かに。
そう考えると、ジュエリーに限らず、その他のリサイクル業態も、要らない「思い」や「物語」をロンダリング(洗浄)する商売と言えるかもしれませんね。

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