商売をする側も、自分たちの店・商品が「ハレの日」使いか「普段」使いかを明確にしておく必要があります。
たとえば私たちが客の立場でお肉を買うとします。
①今日の夕食用にお肉を買うならスーパーでグラムいくらを徹底比較して買います。
②お世話になっている方に中元・歳暮として贈るなら、 デパ地下で黒毛和牛、できればブランド牛を1万円分、となります。
③正月に孫たちが帰ってくるから、みんなで食べる用に、ちょっといい肉を1キロ、デパ地下か専門店で買おう、となります。
この場合、①は普段使いで、②③はハレの日使いです。
同じハレの日でも、②の方が③よりも、ハレの度合が高いです。
同じハレの日でも、中元・歳暮は金額で指定し、自宅用ならグラムで指定します。
この①〜③のお客の消費行動の違いに対し、お肉屋さんはまったく違う対応をしなければいけません。
それぞれのお肉屋さんがすべきことは、
①価格重視の品ぞろえ、コストの削減(セルフ販売、簡易包装)
②贈り先にグレード感が伝わりやすい品質表示・ラッピング。
1万円・5千円などのセット価格を用意。
③対面販売で、高品質かつリーズナブル価格であることを訴求。
簡易包装でコストダウン
このように、ひと口に「お肉屋さん」と言っても、やるべきことが全く違ってくるのです。
どんな業種のお店もスタートするときはコンセプトがはっきりしています。
ですから自然、「ハレの日」使いか「普段」使いかもはっきりしています。
しかし売上が不調になるといろいろ考えてあらぬ方向に舵を切ってしまうのです。
「普段」使いの店が、
「やっぱりお客は品質を求めている。
高くても品質が良ければ買ってくれるはず」
などと考えてしまいます。
「ハレの日」使いの店が、
「やっぱり値段が高いから売れないんだ。
売るためにライバル店より2割安くしよう」
などと考えてしまいます。
それを実際にしてしまうと、お客から見て「普段」使いの店なのか、「ハレの日」使いの店なのか分かりにくくなってしまいます。
スマホの浸透でお客は下調べして店に来ます。
分かりにくい店はますます来店頻度が下がります。
自分たちの店・商品が「ハレの日」使いなのか「普段」使いなのか、ブレてはいけないのです。