日本郵政の「読み違え」

コンビニのアンフェアなゴミ事情
日本郵政が海外子会社・豪トール社の不振で、子会社株式の価値を4,000億円減らす、減損をせざるを得なくなりました。
つまり4,000億円の損失です。
 
郵政が上場前に仕掛けたこの海外企業の買収。
結果論になってしまいますが、この買収には「経営判断のミス」がいくつも見えてきます
 
① 官製の郵政社員が、欧米系の人たちにモノが言えるのか
企業買収は、証券会社で株を買うのとは違います。
子会社の業績が順調であれば、ただの投資で済むのですが。
子会社が不振になれば、親会社が経営に入り込んで、場合によっては大ナタを振るう必要もあります。
日本電産や京セラには現地企業を生かす独自のノウハウがあります。
しかし官製の郵政には非常にハードルの高い仕事です。
 
② 「国内がダメだから海外に」、は成功確率が低い
上場を控えた郵政が、上場後の成長戦略として描いた一つが、海外のトール買収でした。
ヤマトが中国に進出するような、「日本での成功パターンを海外に輸出する」のであれば、成功確率は高くなるでしょう。
しかし、「国内で成長できないから海外で」と考えて海外に進出して成功するケースは、ほとんどないでしょう。
 
③ そもそも成長市場を読み違えている
国内での成長戦略が描けず海外を目指したのですが、その間に国内では「宅配クライシス」とまで言われる現象が顕在化しました。
つまり国内物流は、とんでもなく急成長しているのです。
海外に資金を回している場合ではなかったのです。
 
これからでも遅くありません。
国内にしっかり投資をして、ヤマトの対抗馬になってほしいです。

主婦、ヘルメットを被る

主婦、ヘルメットを被る

 

私たちの会社の工場には、40歳代中心に8名ほど主婦のパートさんがいます。
工場に女性がいるのはそんなに珍しいことではありませんが、私たちの工場では3年前まで女性はゼロでした。
100名以上の従業員はすべて男性
それは仕事内容が、何トンもの鉄やステンレス・アルミを切って曲げて磨いて溶接して塗装して、という工場ですから、「女性には無理」という考え方があったのです。
 
主婦パート採用のきっかけは、男性の採用が難しくなったこと。
募集をしても応募が来ない状況が続き、近隣を見回したとき採用できそうなのが主婦しかいなかったのです。
男性社員がやっている作業のうち「掃除だけでもしてくれればいい」という感じで採用をスタートしました。
 
それから3年近く経ち、今では主婦パートさんが当たり前のように働いています。
それどころか、主婦パートさんたちは工場にそれまでになかった付加価値をもたらしています
①まず各職場が整然ときれいになりました。
②次に各職場のコミュニケーションが増え、雰囲気が明るくなりました。(ムダ話もありますが)
③磨きやバリ取り(溶接の飛びを取る作業)など細部の処理が丁寧になり、製品の品質が上がりました。
考えてみたらこの3つは長い間なかなか改善しない工場の課題でした
それまでに無かったタイプの人材だからこそ、それまでに出来なかったことが出来たのだと思います
 
1億総活躍社会」は国のテーマです。
私たち地方の会社は周辺地域でしか採用ができません。
自分たちの会社の周りにどんな人材がいるか、どんな働き方を用意すればその人材を活用できるか、それを考え続けなければ近いうちに人材不足に陥ってしまいます。
会社が地元のあらゆる人材を活用していくことが、地域総活躍社会になり、ひいては「1億総活躍社会」につながるのだと思います。

レンタルビデオとスマホが取り合う「時間」

レンタルビデオとスマホが取り合う「時間」

 

 

レンタルビデオ業界が苦戦しています。

私が知っている数店舗も、売上が軒並み前年同月比90%程度の状態がもう3年続いています。
90% × 90% × 90% = 72.9
ですから売上は3年前の72.9になってしまっています。
 
この話を聞いたほとんどの人は、たいがい
「そりゃあそうだよね。ビデオなんてネットでいくらでも観れるもんなー」
という反応になります。
 
しかし現実はもっと深刻です。
今、レンタルビデオ業界が競合しているのは、他のビデオ配信サービスではありません。
競合しているのは、スマホです。
と言っても、スマホにお金がかかるからレンタルビデオにお金が回らない、というわけではありません。
スマホに取られているのは消費者の時間です。
スマホが普及し、YouTubeSNS・ゲームなどのコンテンツが充実するにつれ、消費者の時間はどんどんスマホに取られるようになりました。
そのしわ寄せが顕著に出ているのが、レンタルビデオ業界なのです。
 
私もそうですが、朝枕元のスマホのアラームで起き、寝る直前にまたスマホでアラームセット。
武士の刀よろしく、一日中「肌身離さず」という感じです。
スマホが無かったら不安でしょうがない、という方が大半ではないでしょうか。
 
私たちが商売をする上で、お客を思い浮かべるなら、必ずその手にスマホがあることを忘れてはいけません
顧客の手にあるスマホをうまく利用して売上を増やすか、スマホと競合して売上を落とすか。
スマホとの折り合いが、非常に重要なテーマになってきているのです。

高専のススメ

高専のススメ

 

昨年、知り合いの息子さんが東大に入学しました。
と言っても通常の入試ではなく、神奈川の高専(高等専門学校)から東大工学部への編入試験に合格したのです。
高専から国立大学への編入制度があることは知っていましたが、東大にも入れるんですね。
 
現在、製造業の世界では、工業高校の卒業生は貴重な「金の卵」です。
そうすると高専の卒業生は、中小企業には手の届かない「純金の卵」です。
学業優秀な子が、早くから専門性を身につける、国公立の「高専」は素晴らしい 教育制度だと思います。        
私は昔から、この「高専」がもっとたくさんあれば良いのに、と思っています。
ただそれは、現在ある工業・技術・商船分野の学校を増やすのではなく、他のいろんな分野の高専を増やすのです。
例えば「サービス業」の高専、「小売業」の高専、「観光業」の高専、「農業」の高専、「アニメ」の高専、「カジノ」の高専、などなど。
 
サービス業に関心がある優秀な子が、15歳から5年間、「サービス業」の国立高専で勉強すれば、20歳で貴重な人材として社会に出ていきます。
日本のサービス業は生産性が低い、と言われます。
その問題はサービス業の高専の人たちが解決してくれるでしょう。
 
これから日本が本気で観光立国を目指すなら、クールジャパンを世界に発信するなら、IRを解禁するなら、農業の高度化を図るなら、各分野の国立高等専門学校があってもいいのではないでしょうか。
各分野一校ずつ設立すれば、それは「サービス業の東大」「小売業の東大」「観光業の東大」になるでしょう。
 
東京大学を頂点とした「学問」の山だけでなく、日本中に高専を頂点としたいろんな「専門」の山をつくれば、子供たちは早い時期に自分が目指したい山(専門)を見つけることが出来ます。
そして20歳で各分野の即戦力エキスパートとして社会に出てくれます
そういう高い専門性をもった若者たちがいろんな分野に豊富にいる、そんな日本を想像するとワクワクします。

子供に教えられること

子供に教えられること

 

部下が、期待するレベルで動いてくれない、と嘆く管理職も多いでしょう。
自分なりに愛情をもって接し、部下を成長させるために叱咤激励しているのに、部下にその思いが伝わらないと
 
そういう人にこう言いたいです。
「うちの息子も言うことを聞きませんよ」
 
親なら誰しも、自分の子供に惜しみなく愛情を注ぎます。
子供のことを本気で心配し、良かれと思い、したくもない説教もします。
しかしたいがいの子供には、通用しません。
ひたすらうっとうしそうな表情をするだけです。
こっちも本気なだけにヒートアップすると、子供はさらにクールになったり。
よくあります。
子供が親の愛情に気づくのはずっと先、成長して自分が親になった時ではないでしょうか。
 
自分の子供も思うようにならないのに、他人の子供である部下が思うようになる、と考える方が間違いかも知れません。
少なくとも「それくらい思いを伝えるというのは難しいこと」と考えるべきでしょう。
部下が上司の思いを理解して感謝するのはもっと先、自分が上司になって部下をもった時かも知れません。
 
管理職のみなさん、気長に頑張りましょう !