儲かっているときは、石垣の小石を抜いてはいけない

儲かっている中小企業、強い中小企業の利益構造をイメージするなら、それは上手に積まれた「石垣」です。
大きい石の間に小さい石を上手に詰め込んだ石垣。
コンクリートを流し込まなくても、百年以上風雪に耐えている「石垣」。
この場合の「石」とは、「製品」であったり「顧客」であったり「仕事」であったり、です。

例えば、ある製造業の中小企業A社は、10種類の製品を作っているとします。
その中で「主力製品」は2種類、これだけで全体の売上の80%を占めています。
残りの「非主力製品」8種類で売上の20%
いわゆる「パレートの法則」です。
現実、主力・非主力のバランスがこうなっている会社は多いでしょう。
「石垣」に言い換えると、「大きな石」が数では2割だけど占有面積は8割、その隙間に詰められた「小さな石」は数では8割だけど占有面積は2割。

「パレートの法則」では、占有率の高い2割の「製品」「顧客」を大切にしなさい、と説きます。
しかし中小企業は、それを100%真に受けてはいけません
なぜか。
例えば前出のA社の利益構造が、
2種類の主力製品の「直接粗利」だけで、会社全体の「間接費」を賄っているとします。
そうすると「非主力製品」の「直接粗利」はそのまま会社の利益として残ることになります。
一見小さく見える「非主力製品」の「直接粗利」も、そのまま残るのであれば、会社にとって大きなインパクトになります。
※直接粗利-間接費=営業利益

これをもっと具体的に、工場の製造ラインでイメージします。
A社では2種類の主力製品を優先した製造ラインを作っているでしょう。
非主力製品はそのラインの隙間で製造しています。
パレートが言うように主力製品に特化してその売上を伸ばそうとすると、製造ラインの大掛かりな拡張が必要になります。
主力製品を増やせば、製造ラインの隙間も増えるかもしれません。

中小企業では常に「人・モノ・カネ」が不足しています。
限られた資源、限られたキャパシティの中で利益を最大にするには、キャパシティの中をフル稼働させるのが最も確実に利益を出す方法です。
隙間を埋めてフル稼働に近づけているのは、「小さな石」です。
ですから、儲かっているときは「小さな石」を軽視して簡単に抜いてはいけません。

儲かっている中小企業、強い中小企業は、「大きな石」と「小さな石」の積み方が上手なのです。

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