ぶつからない新幹線

 

先日新聞で、「川崎重工と三菱商事がバングラデシュの鉄道車両・関連設備を受注する見込み」という記事を見ました。
車両数は100両、受注額は数百億とのこと。
これは国際協力機構(JICA)の円借款1,735億で、首都ダッカのインフラを整備する一環です。

こういう鉄道インフラの輸出は、安倍内閣の成長戦略の一つに位置付けられています。
これまでの最大受注は2012年〜13年に日立が受注した、イギリスの高速鉄道(IEP)
866両、8,800億円のビックプロジェクトです。
この車両製造が今、山口県下松市の日立笠戸事業所でフル操業状態で行われています。

以前、その笠戸事業所の方にIEPについてお話を伺ったことがあります。
笠戸事業所では通常、JR新幹線車両N700をメインに作っています。
新幹線もIEPもアルミで作られるのは同じなのですが、安全に対する考え方に大きな違いがあるとのこと。
それは、新幹線は「ぶつからないこと」を前提に車両を作り、IEPは「ぶつかること」を前提に作るのだそうです。

新幹線は、ソフト面では運行管理システムを高度化し、ハード面では全線を高架にして、絶対にぶつからない仕組みを作っています
ですから車両は「ぶつからないこと」を前提に、アルミの板厚を薄くして軽量化し、省エネを目指しています。

一方IEPは、新幹線ほどの高度化された運行管理システムを持っていませんし、高架でなく地上を走ります。
ですから車両は、ある程度「ぶつかること」を前提に、アルミの板厚を新幹線の約2倍にし、さらに先頭車両には大きな「衝突衝撃吸収装置」がついています。
万が一、何かと衝突しても、運転士の命を守ることを目指しているのです。

つまり、➀運行システムで安全を確保するのか、➁車両強度で安全を確保するのか、の違いなんですね。

ところで何年か前に、中国の高速鉄道の衝突がありました。
高架の上で車両同士がぶつかる衝撃的な映像でした。
あの鉄道車両は、日本の新幹線車両がベースになっているとのこと。
そうであれば、高度化された運行管理システムが絶対に必要なのですが・・・。

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