経営会議で「資金繰表」の活用を

経営会議で「資金繰表」の活用を
多くの会社で月に一度「経営会議」をします。
私も毎月数社の経営会議に出席します。
 
大半の会社の経営会議メニューは
①先月の売上・利益状況を確認
②今月の目標の確認
③重要案件の協議と承認
④その他の情報共有
くらいでしょうか。
 
私はここに必ず
資金繰表の確認
を入れます。
この資金繰表は経理ソフトで自動に作成されるものでOKです。
(逆に経理担当者が実務で使うものは細かくなりすぎて、使いにくいです)
 
改めてですが、会社が倒産しないための条件は
・継続して利益が出ていること

・継続して資金が(会社で決めた)基準以上にあること

2つです。
片方だけではダメです。
 
ですから毎月幹部全員で、
「損益計算書」でどれだけ利益が出たか、
「資金繰表」でどれだけ資金(現預金)があるか、
を確認することが「倒産しない会社」にするためには重要です。
資金が大きく増減している場合は、みんなでその原因を突きとめます。
その探し当てるプロセスが、出席者のキャッシュフロー感覚を養います。
 
経営者や財務・経理担当だけでなく、むしろ営業や製造部門の責任者にキャッシュフローに敏感になってもらうために、経営会議での資金繰表の活用をおすすめします。

シビアなスポーツ、ゴルフ !

シビアなスポーツ、ゴルフ !
私の数少ない趣味の一つ「ゴルフ」。
キャリアはもう30年近く。
しかし大きな進歩もないままここまで来てしまいました。
 
ゴルフには、他のスポーツにないシビアさがあります
それは一番ヘタな人が一番難しい場所(ライ)から打たなくてはいけない、ということ。
つまり一番技術を要するショットを求められるのです。
 
4人でラウンドすると、1打目こそ全員同じところから打ちますが、
2打目からは上手い人とヘタな人の運命が大きく分かれます
一番上手い人は、ふかふかのフェアウェイから2打目、楽々ナイスオン。
一番ヘタな人は、クラブを3本持って山の斜面を駆け上がり、
転げ落ちそうなところから2打目、結果さらに地獄へ。
ヘタな人のスコアが加速度的に悪くなるのがゴルフです。
 
この理屈はビジネスでも通用します。
ビジネスにおいても、失敗して行きついた場所は、いいショットが出にくい難しい場所なのです。
そこから次の手を打っても、いい結果につながる確率は極めて低いでしょう。
悪いショットをしてしまったら、まずはフェアウェイに戻す
そして良いライから次のショットを打つべし。
ゴルフもビジネスも肝に銘じておきたいものです。
なかなかそうはできませんが・・・。

EC(オンラインショップ)は実店舗より効率的か

EC(オンラインショップ)は実店舗より効率的か
雑貨店の実店舗とオンラインショップ、両方に関わったことがあります。
もともと全国の大型ショッピングセンターで雑貨店を展開している会社が、オンラインショップを立ち上げECを始めたのです。
 
始める前は、私を含め関係者全員が、オンラインショップは実店舗に比べて
人件費・家賃・在庫負担などランニングコストが少ない
店舗を作る費用が安い
だから効率的な運営ができる
と考えていました。
ところが実際にオンラインショップを始めると、全然違いました。
逆に、実店舗は実は効率的なんだ、と気づくことが多かったです。
 
オンラインショップは実店舗の1/3以下の1000アイテムでスタートしました。
各メーカーのカタログから商品をセレクトして発注します。
ここまでは実店舗と同じなのですが、商品が届いてからが大違いです。
 
<オンラインショップの場合>
①検品する
②写真撮り
③サイトにアップ
④商品別に棚に収納
注文が入ったら
⑤確認メール送信
⑥商品を探して棚から取り出し、在庫表に記入
⑦サンキューレターを手書き
⑧梱包
⑨ヤマトを呼んで発送する
⑩発送メール送信
 
<実店舗の場合>
①検品する
②店舗什器にディスプレイする
③お客さんがセルフで選んでレジに持ってきてくれるのを待つ
④会計をしてラッピングして渡す
 
モノの流れ(物流)という点では、実店舗の方がはるかに合理的で効率的です。
在庫を例に取れば、実店舗はディスプレイ自体が在庫置き場になっています。
それに対し、オンラインショップでは在庫棚を1000棚用意します。
在庫が1500アイテムに増えたら即、在庫棚も1500棚になります。
探す手間も、在庫管理も増えます。
 
アマゾンが当初物流の壁に突き当たったように、オンラインショップは規模に関わらず必ず在庫を含めた物流の課題が発生します。
つまりリアルの物理的な課題です。
オンラインショップの成功は、この物流の効率化が不可欠なんですね。

損益計算書(P/L)を見るポイント

コスト
小売業の損益計算書(例)です。

 

                (千円)
売上 120,000
 原価 48,000
粗利 (売上総利益) 72,000
 経費 (一般管理費販売費) 

 人件費、外注費、広告宣伝費、

 地代家賃、旅費交通費など  

68,000
営業利益 4,000
 営業外収益 500
 営業外費用 1,500
経常利益 3,000

※赤文字は原価や経費などの支払(マイナス)科目

損益計算書を見る時、通常上から下に眺め、一番下に利益が出ているかどうかを確認するでしょう。

でもそれで終わってはいけません。

損益計算書で最も大切な数字は、「粗利(売上総利益)」と「経費(一般管理費販売費)」です。
損益計算書を上から下に眺めると、先に「粗利」があって、その後に「経費」が出てきます。
しかし本当は順番が逆です。
会社が商売をする時、店舗用の物件を借りて、人を採用し、広告宣伝をします。
それらの「経費」をかけた後で、ようやく売上が上がり粗利が残るのです。
「経費」が先で、「粗利」があとです。
つまり「経費」をインプットして、「粗利」をアウトプットするのです。
この視点をもって、損益計算書の「粗利」と「経費」をじっくり比較検討しなければいけません。

中小企業の損益計算書を見ると、営業利益ベースで赤字を何年も続ける会社があります。
営業利益 = 粗利 - 経費
ですから、営業赤字を続けるということは、インプットよりアウトプットが小さい状況が続いているわけです。
50円稼ぐために60円投入し続けているのです。
そういう会社は、「経費」がインプット、「粗利」がアウトプットという視点が無いのです。

その視点さえあれば、営業赤字が続くことはないでしょう。
なぜなら、「経費」も「粗利」も、その気になれば相当部分コントロール出来るのですから。

革新的事業に必要なこと

革新的事業に必要なこと
最近の新聞で、国内カーシェアリング業界1の会社が
業績を伸ばしているという記事を読みました。
駐車場運営大手のパー〇〇4です。
 
私も3年くらい前から会員になって利用しています。
特に東京では至る所に車が置かれていて、便利この上ないですね。
予約から利用、返却まですべてスマホと会員カードで完結。
一度返却後に忘れ物に気づいたときも、その対処が自動でされるのを体験し、そのシステムに本当に感心しました。
 
今から3年近く前にその会社の担当者と話をしたことがあります。
その会社は当時、本業の駐車場事業ではしっかり利益を出していました。
しかし、カーシェアリング事業は始まったばかり、将来性はまだまだ不透明でした。
その時に担当者から聞いた話は非常に興味深いものでした。
「私たちの強み、得意としているのは、『無人のオペレーション』。
例えば、私たちの駐車場にある飲料自販機にも意味があるんです。
その自販機業者は、飲料補充時に駐車場周辺とシェアカーの状況確認をする、
そういう取り決めになっているんです。」
ほったらかしに見える時間貸駐車場も、エリア担当者・エリアマネージャー・ベンダー業者で一日23回チェックしているとのこと。
 
私はITを使ったカーシェアのシステムにだけ目が行っていましたが、
実は現場を無人で管理するという目に見えないノウハウもあったんですね。
カーシェアリングは米国などで先行したビジネスモデルとは言え、
神経質で保守的な日本人の中にこれだけ急速に浸透するとは思いませんでした。
それを成し得た背景には、その会社のITとアナログの相互補完のノウハウがあることは間違いありません。
 
世の中に広く急速に浸透する革新的事業は
IT + 培ってきたアナログ = 革新的事業
なのではないでしょうか。
ITだけでもなくアナログだけでもなく。
逆に、IT関連事業を起業したものの、それが革新的事業に育たないのは、ユーザーと事業をつなぐアナログ技術が不足しているのかも知れません。