中小企業の「実践的」財務分析 ①

中小企業の「実践的」財務分析

 

「財務分析」と聞くと、貸借対照表や損益計算書の数字から、「自己資本比率」や「流動比率」を算出することをイメージします。
しかし、それは中小企業にとっては、「学問的」な財務分析です。
中小企業では、「学問的」財務分析の前に、「実践的」財務分析をしなくてはいけません。

中小企業の「実践的」財務分析は、貸借対照表や損益計算書を、時系列に並べることから始めます。
並べた数字をじっと眺め、科目ごとに増減をチェックします。
どの科目が増えて、どの科目が減っているか。
数字の並びを穴が開くくらい見るのです。
そうやって、数字の変化から会社の状態を読み解きます。

例えば、損益計算書を5年分並べる。
エクセル上に並べた数字を眺めて、増減している科目を探す。
「売上」は毎年着実に上がってる、4年連続増収だ。
「外注費」は3年前まで増加傾向だったのに、それ以降は減ってきている。
「広告宣伝費」は2年前から急増している。

増減している科目を見つけたら、その変化はなぜ起きたのかを考えます
さらにじっと数字を眺めながら考えるのです。
「売上」が増えたのはネット販売が増えた分だな、店の売上はそんなに増えていないから。
「外注費」は、売上が増えればそれにつれて増えるものだけど、3年前から内製化を進めたからこの動きになっているんだな。
「広告宣伝費」が急増したのは、間違いなくネット販売の「クリック広告」だ。
という感じです。

この「数字の変化」と「会社でやったこと・起きたこと」を一つずつ結びつける作業こそが、「実践的」財務分析です。
それを進めると、逆に「何をすれば、数字が変化するか」が明瞭になってきます。
何に取り組めば、数字が良くなるのか。
何をやめれば、数字が良くなるのか。
この財務分析は「会社のアクション」に直結しています。
だから「実践的」なのです。

売上を分解する

売上を分解する

 

よく使われる「売上の公式」
売上=客数×客単価
この式は、売上を上昇させる要素が2つあり、売上を上げるためには、「客数」を増やすか、「客単価」を上げる必要がある、ということを表しています。

この公式はもっと分解できます。
② 売上=客数×買上点数×物単価
これは①の「客単価」を「買上点数×物単価」に分解しています。
買上点数はお客一人当たりの平均購入点数です。
この式は、売上を上昇させる要素が3つあり、それらのどれかを上げる必要があることを表しています。

もっと分解できます。
③ 売上=入店客数×買上率×買上点数×物単価
これは②の「客数」を「入店客数×買上率」に分解しています。
買上率とは入店したお客の中で実際に買ったお客の割合です。
この式は、売上を上昇させる要素が4つあり、それらのどれかを上げる必要があることを表しています。

もっと分解できますが、やめておきます。
大切なことは、売上を分解して小さな要素にすれば、その要素に具体的な目標や対策を設定しやすくなるということです。
例えば漠然と「売上を上げる」よりも、
もっと具体的に、「客数を増やす」
さらに具体的に、「買上点数を増やす」
の方が対策を打ちやすくなるのです。

本当に資金を貯めたいなら、「生命保険」

本当に資金を貯めたいなら、「生命保険」

 

会社で、いざという時のために資金を貯めるなら、銀行の積立預金ではなく、生保を活用することをおすすめします。
適当な積立型の(掛捨てではない)生命保険に加入して毎月保険料を口座振替で支払うのです。

理由は至ってシンプル。
生保で積み立てると、今どれくらい積み立てたか分かりにくいからです。
毎月2、30万くらい保険料を支払っていると、いつの間にか2、3千万貯まっていたなんてことになります。
これがいいのです。

これを銀行で積み立てると、預金の残高に入るので、毎月資金繰りをしたり、試算表を見たりするときに目に入ってしまいます。
結局常に、「あの積立預金に今○○○万ある」と頭の片隅に置いてしまうのです。
で、少し資金繰りがタイトになると、それを当てにしてしまったり。

これは個人の積み立ても同じですね。
本当に貯めたいなら、積み立てていることを「意識の外」に置く方がベターです。

どんな生命保険に加入したら良いか。
半分損金型や全額積立型などがありますが、どっちでも構いません。
大切なことは年払いではなく毎月払いにすることです。
その方がいつの間にか支払ってしまうからです。
年払いにしてしまうと金額も大きくなり、支払いを意識してしまいます。
「いつの間にか」にならないのです。

繰り返しますが、本当におカネを貯めたいなら、積み立てていることを「意識の外」に置くことが大切です。

ゴミ箱に ミカンの皮を 捨てないで

ゴミ箱に ミカンの皮を 捨てないで

 

若いときに身についた考え方や習慣は、いつまでも体に染みついています。
それだけに、その習慣に反する状況に直面すると、落ち着かない気持ちになってしまいます。
その一つが、事務所のゴミ箱にミカンの皮を捨てる行為です。
今は夏なので、温州ミカンはありませんが、それでもたまに夏ミカンをもらうことがあります。
事務所の机でミカンをむいて食べる、これは田舎の会社の醍醐味です。
それはいいのですが、隣の席の部下は食べた後の皮を、事務所のゴミ箱に捨ててしまいます。
これが私にとっては気持ち悪くてしょうがありません。

私は銀行員時代、事務所のゴミ箱に生ものを捨てることは、絶対にしてはいけないこととして教え込まれました。
銀行では毎日たくさんの伝票・帳票を取り扱います。
それをどんどん処理して、用済みのものは机の下に置いているゴミ箱に入れていきます。
15時に店が閉まり、勘定を合わせたり書類を整備していると、たまに伝票が足りないことが発覚します。
そうなるとゴミ箱をひっくり返すことになります。
ですからここにミカンの皮を入れることは絶対ないのです。
鼻をかんだティッシュも。
ちなみに銀行では預金事務で出たゴミは透明の袋に入れて、日にちを書き、数週間保管します。
年に何度かはその保管ゴミをひっくり返してみんなで書類を探すこともあります。
そこにミカンの皮が入っていたらカビカビで大変です。

今の職場は毎日重要な書類を扱うわけではないですし、ゴミ箱をひっくり返して探すシーンもめったにありません。
中小企業の程よいルーズさも尊重したいので、「ゴミ箱に生ゴミ」の件は、胸に引っかかりながらも黙認していました。
ところが先日、部下がゴミ箱の中の書類を引っ張り出して何かを探しているのを見ました。
時を得たり。
「そう、そうやって何か探すことあるでしょ。
だからゴミ箱に生ゴミを入れるのはやめよう」
ようやく伝えることが出来ました。