「ハレの日」使いと「普段」使い ②

「ハレの日」使いと「普段」使い 

 

 

商売をする側も、自分たちの店・商品が「ハレの日」使いか「普段」使いかを明確にしておく必要があります

 たとえば私たちが客の立場でお肉を買うとします。
今日の夕食用にお肉を買うならスーパーでグラムいくらを徹底比較して買います。
②お世話になっている方に中元・歳暮として贈るなら、 デパ地下で黒毛和牛、できればブランド牛を1万円分、となります。
③正月に孫たちが帰ってくるから、みんなで食べる用に、ちょっといい肉を1キロ、デパ地下か専門店買おう、となります。
この場合、①は普段使いで、②③はハレの日使いです。
同じハレの日でも、②の方が③よりも、ハレの度合が高いです。
同じハレの日でも、中元・歳暮は金額で指定し、自宅用ならグラムで指定します。
 
この①〜③のお客の消費行動の違いに対し、お肉屋さんはまったく違う対応をしなければいけません
それぞれのお肉屋さんがすべきことは、
①価格重視の品ぞろえ、コストの削減(セルフ販売、簡易包装)
②贈り先にグレード感が伝わりやすい品質表示・ラッピング。
1万円・5千円などのセット価格を用意。
③対面販売で、高品質かつリーズナブル価格であることを訴求。
簡易包装でコストダウン
このように、ひと口に「お肉屋さん」と言っても、やるべきことが全く違ってくるのです
 
どんな業種のお店もスタートするときはコンセプトがはっきりしています。
ですから自然、「ハレの日」使いか「普段」使いかもはっきりしています。
しかし売上が不調になるといろいろ考えてあらぬ方向に舵を切ってしまうのです。
「普段」使いの店が、
「やっぱりお客は品質を求めている。
 高くても品質が良ければ買ってくれるはず」
などと考えてしまいます。
「ハレの日」使いの店が、
「やっぱり値段が高いから売れないんだ。
 売るためにライバル店より2割安くしよう」
などと考えてしまいます。
それを実際にしてしまうと、お客から見て「普段」使いの店なのか、「ハレの日」使いの店なのか分かりにくくなってしまいます
 
スマホの浸透でお客は下調べして店に来ます。
分かりにくい店はますます来店頻度が下がります。
自分たちの店・商品が「ハレの日」使いなのか「普段」使いなのか、ブレてはいけないのです

「ハレの日」使いと「普段」使い ①

「ハレの日」使いと「普段」使い 

 

 

知人が運営しているスイーツのネットショップの話。
大手ネットモールのカテゴリー内では常にトップ10に4〜5アイテムがランクインしていて、顧客レビューも高評価のショップです。
最近そのネットモール運営会社の企画で、スイーツ評論家数人が商品の評価をしてくれる機会があったそうです。
 その評価の中に
「全体的に味は良いが、味が際立っていない。
コンビニスイーツもレベルが上がっているので、このままだとコンビニに取って代わられるかも
というのがあったとのことで、知人は憤慨していました。
 
確かに、今さら評論家にコンビニスイーツのレベルの高さを語ってもらわなくても、そんなことはみんなよく知っています。
みんないつも食べてるんだから。
 
それより気になったのは
「コンビニに取って代わられる」
という部分。
知人のネットショップは、誕生日をターゲットとしたギフト専門のスイーツショップです。
スイーツそのもののデザインはもちろん、パティシエメイドのメッセージプレートやパッケージにもこだわっています。
ずっと将来は分かりませんが、今時点では特別な日のギフトにコンビニスイーツは使う人は少ないでしょう。
 
重要なことは、お客がお金を出して買う商品・サービスには、「ハレの日」使いと「普段」使いの2通りがあるということ。
※ハレの日は「晴れの日」、祝いや記念日など特別な日です。
言うまでもなく、コンビニは「普段使いの代表」です。
自分一人で甘いものを食べるならコスパも含めコンビニが最高です。
しかし大切な人の誕生日や結婚記念日などの「ハレの日」には向きません。
 
スイーツ評論家の話に戻すと、お客がどういうシーンでその商品を買うか、ということを抜きにして、味だけで商品全体を評価してしまうというのは、専門家としては残念な気がします。