勝てる中小企業のつくり方 ② プラグイン経営への転換

 

元請け(仕事をもらっている先)の大企業から、モノづくりのトッププロを招へいして、自社のモノづくりを強化する。
それが出来れば、間違いなく会社は強くなります。
とてもシンプルな強化法です。

ただ、このシンプルな強化法を成功させるためには、前提条件があります。
それは
➀オーナーが会社に常駐していないこと
➁経営上の権限を一人に集中せず、役員数人で分担していること。
つまり、オーナーがいなくても自主運営できる会社であることです。

私はそのような経営スタイルを、「プラグイン経営」と呼んでいます。

「プラグイン」とは、IT用語で、「機能拡張用ソフト」を意味します。
アプリケーションに何かの機能を付加したい時、アプリケーション自体をバージョンアップさせるのではなく、そのアプリケーションに「プラグイン」を注射して機能を追加するのです。
そのためには当然、アプリケーションはプラグインを受け入れることを前提に設計されています
アプリケーションのユーザーは、自分が必要な機能のプラグインをいくつでも付加することが出来ます。

プラグイン経営は、外部の優秀な人材を受け入れて、効率よく自社の強みにしていく経営スタイルです。
そのためには、会社自体が、プラグインを受け入れる設計になっていなくてはいけないのです。

もちろんすべての中小企業にプラグイン経営が適しているわけではありません。
オーナー社長の牽引が効果的な創業時期や、小企業では必要ありません。
しかし、そんな会社も成長して企業規模が大きくなったり、また代替わりして創業者のカリスマがなくなると、プラグイン経営が有効になってきます。

そう考えると、すべての中小企業はプラグイン経営について考えておく必要があると考えます。

勝てる中小企業のつくり方 ① トッププロを招へいしてフル活用する

 

製造業を営む中小企業の大半は、大企業の下請けです。
競合相手は、同じように大企業に納品している中小企業。
つまり、同業の中小企業に競争優位に立てれば、納品量を増やして儲けを増やすことが出来ます。

そのためには、「モノ(製品)」を強化して競争力を高める以外ありません
その一番確実で手っ取り早い方法は、元請けの大企業から、モノづくりのトッププロを招へいすることです。
具体的には、元請けのOB、出来れば元製造部長くらいを招へいします。
同じ部長でも経理部長を招へいしても意味がありません。
これまでこちらの製品の品質や納期にあれこれ要求を出してきた人を、こちらに取り込むのです。

このように元請け大企業から人材を受け入れている中小企業はたくさんあります。
しかしその人材を活用出来ている会社は少ないように見受けられます。
これは本当にもったいないことです。

私たちの会社では、その人材を最大限に活用するために、「社長」になってもらいます。
「社長」に就いてもらうことは、会社から社員へのメッセージになります。
「これからウチは、新社長の品質基準でモノづくりをするよ」
という強いメッセージです。
また、招へいされた本人も、「社長」でなければ、本気にならないでしょう
「常務」くらいでは、「お手伝いに来ました」的な、天下り気分になってしまいます。

とにかく、せっかく取り込んだトッププロを、使い倒さなければいけません。
お飾りではダメです。
その人材がもっている、モノづくりに関する技術的な情報や品質管理のノウハウを、フル活用するのです。
それを阻む要因をすべて排除してフル活用する。
それさえできれば、間違いなく自社の「モノ(製品)」は強化され、競合他社に勝っていけるのですから。

シンプルな話です。