「モラル」と「モラール」は別の言葉です。
「モラル(moral)」は、日常も良く使う、「倫理」とか「道徳」の意。
「モラール(morale)は、仕事の場でしか聞かれませんが、「労働意欲」「士気」「ヤル気」の意味。
この二つの言葉は直接的には関係のない言葉ですが、会社経営の上では非常に密接に関わっています。
私たちの会社(製造業)では一年に一回、全従業員対象に「モラールサーベイ」を実施します。
日本語では「勤労調査」「従業員満足度調査」と訳されますが、morale serveyからすると「労働意欲調査」がストレートな訳でしょう。
モラールサーベイには、
・会社の経営方針や今後の計画を知っていますか。
・日常の仕事に関して、上司の指示・命令は的確に行われていますか。
・会社の規則やルールは、これでよいと思いますか。
・昇進や昇格の機会が適切に設けられていますか。
・あなたの職場と、他の職場との協力や情報連絡はうまくいっていますか。
といった質問が30ほどあり、最後は次の質問で締めくくられています。
・あなたはこの会社で働き続けたいと思いますか。
また、自由意見を書く欄もあります。
従業員に調査シートを配付する際、記入済シートを入れる封筒も配布します。
従業員が提出した封筒を会社で開封することはなく、そのままコンサルタントに送ります。
従業員にも、「会社で開封することはないので、安心して書いてほしい」と伝えています。
後日コンサルタントから、全体的な傾向分析や個別の回答事例をまとめた「結果報告」を受け取ります。
その結果報告には、従業員が不満に思っていることがあまた書いてあります。
それらの不満の中で、圧倒的に多いのは、「上司への不満」です。
・仕事について質問すると、バカにしたような口ぶりで説明される。
・喫煙時間のルールができても、上の人たちが守っていない。
・上司が仕事中に長い時間インターネットを見ている。
・社用の買い出しのとき上司に、ついでにタバコを買ってきてほしいと頼まれた。
・上司は、注意しやすい人だけに注意し、しにくい人は放任している。
などなどなど。
上司の「モラルの低さ」が、部下の「モラール低下」を招く。
会社で一番よく目にする、「モラル」と「モラール」の関係です。