社内人事を「予約」する ②

社内人事を「予約」する

 

社内人事で「予約」が活用できるケースが他にもあります。

古参の社員に「役職定年」を言い渡すケースです。
例えば、20年近く総務部長をしている古参社員に、役職を退任してもらうケース。
総務部長との人事面談で、
「3年後の60歳で、総務部長を次長にバトンタッチしましょう。
でもその後もこれまでの経験を生かして会社のサポートをお願いします。
70歳まで一緒に頑張りましょう 」
と伝えるのです。
3年後という、なが〜い「予約」です。

中小企業では「何歳で役職定年」と決めている会社は少ないのではないでしょうか。
その時までに後釜をつくる仕組みが出来ていないからです。
そのため、上記のような古参社員への「言い渡し」は非常に気をつかう仕事です。
それを3年先という長い「予約」にしてしまえば、前向きな伝え方が出来ます。
これを、「今期末で役職を降りてほしい」などと伝えたら、本人が前向きにとらえることはないでしょう。

実は古参社員自身も、この先自分の立場はどうなるのか不安なのです。
この予約をすることで
➀3年間は今の役職を続けることが出来る
➁3年をかけてじっくり引き継ぎが出来る
➂その後も仕事を続けることが出来る
とポジティブに受け入れてくれます。
そうなれば引継も円滑に進むでしょう。

伝えるのが難しい人事、伝えるのが難しい相手ほど、十分な期間をとった「予約」を早めにすることが肝要です。

社内人事を「予約」する ➀

社内人事を「予約」する

 

人材が十分に揃っている、足りているという会社は少ないでしょう。
私たちの会社も、いつもどこかの部署に「人不足」が発生しています。

経営側としては、人員は少し足りないくらいが、ちょうどいいと考えます。
人員に対して仕事量が少しオーバーフローする状態は、
➀仕事に優先順位をつける
➁重要でない仕事を切り捨てる
➂仕事のやり方を変える
という効率化のチャンスでもあるからです。

しかしその部署の仕事が滞って、他の部署に影響を与えるようでは困ります。
私たちの会社では現在、購買部がそういう状況です。
材料・部品を調達する部署なので、ここが欠品を出してしまうと、工場の製造計画は混乱してしまいます。
現在購買部は、仕事量に対し一名足りない状況で、部員の残業で何とかまかなっています。
設計部から一名購買部に異動させたいのですが、設計部の抵抗も相当に強い状況です。
一名抜かれると出図が遅れてしまうと。

こういう時に使う「いい手」があります。
異動を「予約」するのです。
設計部長も、購買部が苦労しているのはよく分かっています。
設計から一名異動させなくてはいけないことも。
ただ、「今」はまだ動かしてほしくないと。
そこで「今」ではなく、半年後くらいで異動を「予約」してしまうのです。
設計部長も、「まあ半年後ならば一名抜けても何とか回せるようになるか」と応じてくれます。

私の経験から言えば、この「予約」をしないと、人員不足に関する状況は1年、2年と持ち越してしまうことが多いです。
購買部の「今欲しい」、設計部の「今は無理」の問答を、何年も繰り返してしまうのです。
「半年後」は購買部長からすると「先すぎる」のですが、結果としては確実に円満に人員を増やすことが出来ます。
それに、経ってみると半年なんてあっという間です。

早く異動させたいなら、そのニーズを早く発見して、早く予約することが大切です。