「ヒマなときに何をしたか」を評価する

「ヒマなときに何をしたか」を評価する

社員を評価するとき大切なことは、「ヒマな時間に何をしたか」をよく見ることです。

数年前、東京都内の店舗のオープンに立ち会いました。
オープン当日朝、店長から
「昨日はみんな夜遅くまですごく頑張ってくれました。すごいスタッフばかりです!」
と報告がありました。
というのも、運悪く前日都内でゲリラ豪雨があり、周辺の側溝からあふれた水が、新店に流れ込んできたのです。
店舗の入口に土嚢的なものを置き、それでも入ってくる水をかき出し、雨がおさまってからは床をクリーニング。
予期せぬトラブル対応が、夜遅くまで続いたのです。

こういう予期せぬトラブル、緊急事態が発生すると、スタッフには負荷がかかります。
そこで頑張っているスタッフを見ると、上司は「評価」したくなります
半年に一回の人事評価でも、「あのゲリラ豪雨のとき頑張っていた」と。
店長の報告の口調には、そんな「評価」をしそうな雰囲気がありました。

しかし、その「人事評価」は間違っています。
店の緊急事態にスタッフが対応するのは当たり前です。
自分たちの店に水が流れ込んでいたら、誰だって懸命に防ごうとするでしょう。
その対応を「人事評価」するなら、緊急事態がたくさん発生した部署ほど、スタッフの評価が高くなってしまいます。

どこの会社であっても、「働く人」はほぼ全員真面目です。
目の前に仕事が山積みになっていれば、急いで片づけようとします。
緊急事態が起きれば、必死に対応しようとします。
そこでの働きに、大きな「違い」「差」はありません。
ではいつ「違い」「差」がでるのか。
それは「ヒマ」なときです。
「ヒマ」なときとは、忙しい仕事が一段落して、「今すぐやらなければいけない仕事」「強制される仕事」がないときです。

そんなとき、「普通の人」は、ヒマに合わせてペースを落とし、ゆったりと仕事をします。
一方、「評価すべき人」は、このヒマな時間を利用して、繁忙時に出来ないことに取り組みます。
繁忙時の仕事をスムーズにする改善は、「ヒマ」な時間にするしかありません。
たくさんのお客を集めるには、お客のいない「ヒマ」な時間に仕掛けをつくるしかありません。

店舗・会社を発展させるのは、「ヒマ」な時間の仕事なのです。
それに取り組んでいる社員をしっかり評価することが大切です。

「人」を評価するのではなく、「仕事」を評価する

「人」を評価するのではなく、「仕事」を評価する

 

 

多くの会社で、半年もしくは一年に一回、人事評価をします。
「社員を正しく評価する」というのは簡単なことではありません。
しかしそれをよけい難しくしているのは、評価者(上司)の認識不足によるケースも多いです。
 
以前人事コンサルタントから
「人事評価というのは、人を評価するのではなく、仕事を評価すること
と教わりました。
これは金言です。
人事評価が難しくなるのは上司が部下の「人」を評価してしまうからです。
 
人を評価しようとすると、人の内面にまで踏み込んでしまいます。
仕事を評価するなら、目に見える成果物や言動を評価すれば良いのです。
 
人を評価しようとすると、上司の先入観や好き嫌いが影響します。
仕事を評価するなら、客観的に評価しやすくなります。
 
人を評価すると、それに対する対策も「人を改善する」ことになり、非常に難しくなります。
仕事を評価すれば、それに対する対策は「仕事の仕方を改善する」ことになり、即効性があります。
 
「仕事を評価する」というと、表面的な評価になってしまうように思われるかも知れません。
決してそんなことはありません。
仕事の成果物を増やしたり言動を改善していくには、当然部下の内面の変化・成長も必要です。
大切なのは上司と部下が「仕事をどうするか」を話し合うことで、間接的に部下の内面の成長を促すということです。
 
最悪な面談は「そもそもお前は・・・」と部下の内面に切り込むことから始める面談です。