かんたん説明、「信用創造」➁

かんたん説明、「信用創造」

 

信用創造は「銀行が貸出をすると、世の中全体のおカネが増える」ことです。
繰り返しになりますが、銀行ではないAさんがBさんにお金を貸しても、世の中全体のおカネは増えません
 
ところで信用創造の反対は「信用収縮」です。
だいたいお分りかと思いますが、銀行が貸出を回収すると世の中のお金がそれだけスッポリなくなってしまいます。
ブラックホールにお金が吸い込まれるように
沼に札束を投げ入れたイメージでも良いかも知れません。
これが銀行ではないAさんがBさんからお金を返してもらったのであれば、世の中全体のおカネは減りません
 
このように、銀行の貸出・回収は世の中全体のおカネの量に大きな影響を与えるのです。
 
30年前のバブル景気の頃は、銀行が思いっきり信用創造をしていました。
その後、国主導で銀行が一気に信用収縮に動いてしまったために、日本経済はズタズタになってしまいました。
銀行の信用創造・収縮機能が日本経済を壊すほどの作用をしたんですね。
 
今でも銀行の信用創造の影響力は相当大きいと考えます。
銀行貸出が増えなければ世の中のおカネが増えません。
中小企業をとりまく景況感が今一つ上がってこない要因は、銀行貸出が伸びていないことが大きな要因ではないでしょうか。
 
最後に「信用創造」に関する小さな提案を一つ。
最近銀行は貸出をしたくても、案件を見つけられない状況にあります。
一方中小企業の貸借対照表の中には、親会社からの貸付やオーナー個人からの貸付が結構あります。
そういう貸付を片っ端から銀行が肩代わりしてはどうでしょうか。
親会社やオーナーからの貸付では世の中のおカネは増えません。
銀行が貸出すれば信用創造で世の中のおカネが増えます。

その恩恵として、親会社やオーナーの手元に資金が入り、何かを買ったり投資したりする余力が生まれるのです。

かんたん説明、「信用創造」①

かんたん説明、「信用創造」

 

銀行は信用創造ができる特別な存在です。
信用創造というのは、
「貸出によって世の中全体のおカネが増えること」
です。
これは当たり前のようで、実は奥深く難解な話です。
 
一般的に、「銀行は預金者の預金を元手に誰かに貸出をする」と思われています。
つまり預金がなければ貸出ができないと。
しかし実際はそうではありません。
元手がなくても貸出はできるのです。
 
例えば、銀行が企業A1000万貸出して、その企業Aがその1000万を引き出すことなく預金口座に置いたままにするとします。
この状態であれば、銀行内で「預金」と「貸出」が双方1000万でバランスしているので、よそからおカネを持ってくる必要はありません。
元手の預金が必要ないわけです。・
つまり元手も何もないところに、銀行の貸出一つで手品のように世の中のおカネが1000万増えたことになります。
増える額が1000万では迫力ありませんが、これは1兆でも同じです。
これが信用創造です。
「預金が先か貸出が先か」は大した問題ではなく、出来上がりの預金と貸出がバランスしていれば良いのです。
(※銀行の支払準備など細かいことは無視しています)
 
消費者金融ではこうは行きません
貸し付けたお金は、消費者金融会社の預金口座にあったお金です。
つまり貸出によって、消費者金融会社の口座から借入人の口座に資金が移動するだけです。
世の中全体のお金は増えていません。
銀行は預金と貸出の両方を保有しているからこそ、信用創造ができるのです。
銀行は特別な存在なのです。
 
つづく。