ワクチン接種で考える、「ポジティブ目標管理」

ワクチン接種で考える、「ポジティブ目標管理」

なかなかペースが上がらなかった高齢者へのワクチン接種が、ようやく本格化してきました。
人口の多い大都市圏は、政府が想定する7月末完了は難しそうですが、地方では十分に間に合いそうです

高齢者接種の準備に手間取ったこれまでの間、ワクチン接種に関連していろんな問題が取り沙汰されました。
ネットや電話に接種申し込みが殺到し、なかなかつながらない。
ネットに慣れない高齢者が市役所に並んだ。
余って行き場のないワクチンが廃棄された。
知事などの首長が優先的に接種するのはいかがなものか。
地元の有力者が市に優先接種を要望し、市がそれに応えようとした。
などなど。
ネガティブな話ばかり。

テレビのニュースの冒頭では、必ず「本日の都道県別感染者数」の日本地図が出て、口頭で重症者数と死亡者数が加えられます。
これに前出したネガティブ情報が上乗せされるのですから、国民はみんなトゲトゲした気持ちに支配されてしまいます

ところで、私たち日本国民の現在の最重要かつ最優先の目標は、はっきりしています。
「ワクチン接種を希望する全国民が、早期に2回の接種を完了すること。」
これ以外にありません。
医療従事者や高齢者への優先接種を7月末までに完了させる目標は、全国民が完了する目標の「中間目標」に過ぎません。
テレビのニュースでは見かけませんが、Yahoo!JAPANのトップページには、
「国内の新型コロナ発生状況」の下に、「国内のワクチン接種実績」が並んで載っています。
さすがです。
私たちはこのワクチン接種の積み上がりにもっとフォーカスすべきでしょう。

テレビのニュースでも、取り入れてはどうでしょうか。
日本地図で都道府県別の感染者数を示したあと、同じ日本地図で都道府県別のワクチン接種率を示すのです。
感染者数と違い積み上がる数字なので、視聴者は自分の県の数値を毎日継続的にフォローするでしょう。
ウチの県は今、全国3番目の接種率だ。
なぜウチの県は隣の県に大きく引き離されてるんだ。
県民がそういうフォローをすれば、県の担当者はじめ接種に関わる人たちも俄然頑張るでしょう。
(今も頑張っていらっしゃいます)

私たちのほうも、「知事の優先接種がいかがなものか」、などという狭い了見は無くなるのではないでしょうか。
「誰が先に受けても接種率が上がりさえすれば、自分の身の安全度は高まるし、自分の接種時期も早まる。」
そんな考え方になれば素晴らしいです。

一番大切な目標を、「数値化」して「見える化」して「ポジティブ化」する。
これが目標達成への最短ルートです。
会社の目標管理も同じです。

百貨店退店の跡に誘致すべきもの

百貨店退店の跡に誘致すべきもの

百貨店退店の跡に誘致すべきもの、それはイオンではなく「会社(オフィス)」です。

関西の自宅のすぐそばにある百貨店が、再来月8月に閉店します。
バブル直前の平成元年、市のニュータウン開発の計画に沿って、その中心駅に出店した百貨店。
あれから30年あまり。
「企業の寿命30年説」というのがありますが、この30年は企業よりも「流通」の世界の方が環境が激変しているように思えます。

百貨店が退店に追い込まれた理由、これは誰でもすぐに挙げることができるでしょう。
イオンモールの全国展開
ニュータウンの高齢化
若者のブランド離れ
ネット通販の台頭
などなどなど。

百貨店が閉まると、地元では必ず次の商業施設を待ち望む声が上がります。
これを好機ととらえ、もっと魅力のある商業施設を誘致したいと。
百貨店が退店に追い込まれる理由をいくつも挙げておきながら、その一方で次の商業施設を待ち望む。
矛盾しています。
個人消費が枯れた場所では業態を変えたところで、いい結果はまず出ないでしょう。

百貨店が退店した後に誘致すべきは、「会社」と考えます。
百貨店の地下と1階は比較的健在ですから、それは残し、2階以上をオフィスにする。
つまり、「消費する場」を「働く場」に変えるのです。

「個人の支出」と「会社の支出」は、仕組みが違います。
会社はまず「支出」をしてから稼ぎます。
逆に、個人はまず稼いでから「支出」します。
ですから個人消費が枯れているなら、まず稼ぐ場所を与えるべきでしょう。

何も大きな会社を誘致する必要はありません。
郊外の百貨店の周りはすべて住宅地です。
百貨店跡がオフィスになれば、そのまま「職住近接」です。
新型コロナ禍を経験し、その後の「ニューノーマル」を模索する過程で、リモート、サテライトオフィス、コワーキングスペースなど、「職住近接」の需要は高まるでしょう。

「働く場」が充実し、そこに人が行き来するようになる。
「消費の場」が必要になってくるのはそれからです。