蒸し返さない 「税務調査」

税務調査
税務調査が、ようやく終わりました。
調査期間中、調査官に教えてもらったことがあります。
それは数年前に実施された、「税務調査に関する手続き明確化」についてです。
事前通知の内容や方法、資料の持ち帰り、調査完了の手続きなど、いろいろルールが整備されたとのこと。
これは民主党政権時に、「納税者保護」を目的に、それまで曖昧だった税務調査の手続きを明確化したのだそうです。
民主党、グッドジョブです。
 
調査官によると、「前回の調査より前のことは、再調査できない」ということも基本ルールになっているようです。
もちろん重大な状況の変化があった場合は別でしょうが、原則、調査対象期間は前回調査以降だけ。
それより前のことは「蒸し返さない」のです。
これもグッドです。
何事につけ、蒸し返して幸せになることなんてありません。
 
残念ながら、税務調査には暗いイメージが付きまといます。
調査の通知が来ると、脱税などしていなくても、「何を調べに来るんだろう」と不安になります。
調査が始まり、調査官とあれこれ会話をしても、「本当の目的は何なんだ」と懐疑的になってしまいます。
これは調査を受ける側の率直な感覚です。
 
逆に調査官はどうでしょうか。
調査官も人の子、会社側がそんな感覚で調査官と接するなら、精神的にはしんどいでしょう。
真偽は定かではありませんが、精神を病む人も多いと聞いたことがあります。
調査の目的や手続きをクリアにすることは、税務調査官の負担も減らすことになるでしょう。
 
これからの税務調査は、悪質な脱税会社には、これまで以上に厳しく。
そして大半のちゃんとした会社には、「税務指導の行政サービス」という感じになれば理想的ですね。
調査官に気持ちよく帰ってもらうために、何か適当な「おみやげ」が必要、などという都市伝説もなくなってほしいものです。

税務調査官が重点チェックする「納品書」

税務調査官が重点チェックする「納品書」
10年ぶりに税務調査が来ました。
ゴールデンウィークまでの延べ7日間、少し長い調査でした。
 
結果、いろいろ指摘をいただきました。
その指摘事項について調査官と話をしていて、再認識したことがあります。
それは、「調査官は納品書を重点チェックする」ということです。
 
「納品書」は通常、納入業者が発行します。
複写の1枚を納入業者、1枚をこちらで保管します。
納入業者側には、納品を確認したこちらの担当者の受領印が押されています。
こちらが保管する「納品書」は、納入業者から請求書が来た時に、確認資料として使います。
請求書の内容が、「納品書」の内容とちゃんと合っているか。
この経理の基本的で大切な仕事には「納品書」が不可欠です。
しかし一度その確認作業が済むと、「納品書」は半ば用済み帳票になってしまいます。
見積りや請求書、領収書がメインで、「納品書」はサブな感じです。
 
税務調査官は違います。
一番大切なのは「納品書」なのです。
なぜなら、「納品」というモノが動いた事実を唯一証明する帳票だからです。
見積り・請求書・領収書は、モノの動きを証明していません。
調査官いわく、「請求書や領収書はいつでも作れる」とのこと。
納品書にはモノと日付と「担当者の受領印(納入業者側)があります。
これが取引の事実を証明する唯一のものという理由です。
もしこの「納品書」が偽造であれば、それはそれで大変な問題に発展します。
 
私たちの会社の調査でも、決算月の設備購入などで納品書を重点的にチェックされました。
減価償却資産を減価償却するための必須条件は、「事業の用に供している」ことです。
買っただけ、運び込んだだけでは償却できません。
調査官は納品書で納品日を確認し、実際に稼働していたかをチェックするのです。
 
私たちも、「納品書」にもっとスポットを当てる必要がありますね。