管理職は、何を「管理」する ?

管理職は、何を「管理」する ?

 

管理職が一番「管理」しなければいけないものは、「仕事の領域」だと考えます。
ちょっとカッコよく「領域」としましたが、「仕事の範囲」でも構いません。

「部下」が「範囲」をはみ出さないように。
「顧客」が「範囲」をはみ出さないように。
「商品」が「範囲」をはみ出さないように。
「価格」が「範囲」をはみ出さないように。
「商圏」が「範囲」をはみ出さないように。
などなど。

各部署には会社から期待されている「役割」と「成果」があります。
部署は「役割」の範囲内で、最大の「成果」を目指します。
そのために大切なことが「はみ出さない」ことなのです。

上のように「はみ出さない」ことを連呼すると、制限だらけのネガティブな仕事を想像してしまいます。
しかしそうではありません。
例えば、同じ売上が取れるのであれば、顧客数50名よりも10名の方が、効率が上がり儲かります。
商品アイテム数(種類)も少ない方が、効率が上がり儲かります。
商圏も狭い方が儲かります。
つまり同じ売上を取るなら、狭い範囲で取った方が、格段に効率が上がり儲かるのです。

ヤル気があってアイデア豊富な部下ほど、あれこれ手を広げようとします。
そのヤル気は認めるとしても、それでは儲からない方向に動いてしまいます。
そういう部下こそしっかり「範囲」を制限してやるべきです。
その部下がもつ「アイデア」や「行動力」を決められた範囲内に集中させ、仕事を広げるのではなく深掘りさせるのです。
その結果、部下の仕事は儲かる仕事になり、深掘りされた商品・サービスは競合他社に勝てるものになるでしょう。

この逆をやっている管理職は結構多いです。

管理職が一番してはいけないこと、「現場の邪魔」

管理職が一番してはいけないこと、「現場の邪魔」

 

社長・役員・管理職が一番してはいけないこと、それは現場の邪魔をすることです。
ここでいう「現場」とは、「店舗」や「工場」、営業職や経理なら「部下の仕事場」です。
つまり、店舗や工場、部下の邪魔をするな、ということです。

何を今さら、そんな当たり前のことをと思われるかも知れません。
しかし世の中に、現場の邪魔をする管理職がどれだけ多いことか。
自分が何か訊きたいことがあると、時間関係なく店舗に電話したり、部下を呼びつけたり。
これはダメです。
超緊急のケース以外は、現場優先です。

なぜなら、日々の企業活動の中で利益を生み出すのは「現場」以外にないからです。
「現場」の効率を最大限に上げることが、会社の利益を最大限にするのです。
だから店舗の営業時間内に不急の電話をかけてはいけません。
工場が高稼働しているときにオーナー会長の視察をセットしてはいけません。
営業担当者が「顧客への提案書」をチェックしてほしいと頼んできたとき、管理職はそれを後回しにしてはいけません。
経理担当者が月末処理に追われているときに、呼び止めて来月の話をしてはいけません。

「現場」は時間との戦いです。
決められた時間内で、最大の成果物を生むための戦いです。
それを邪魔しない時間帯であれば、連絡しても良いでしょう。
飲食店なら14時や16時のアイドルタイム。
工場なら昼休憩後、午後作業を始める前。
メールを送るのはいいですが、早く返信することを強制してはいけません。

ところで、その「現場」を作ったのは他でもない管理職です。
会社の利益を最大にするために、人を選び、場を作り、仕組みをつくったはずです。
自分が作った「現場」が高稼働して利益を生もうとしているのを、自分が邪魔してはいけません。

社員が一番怖れる言葉、「そろそろ課長になるか」

社員が一番怖れる言葉、「そろそろ課長になるか」

 

地方で製造業を営む私たちの会社では、上席からの「そろそろ課長になるか」という言葉は、社員が一番怖れる言葉です。
冗談のようですが、本当にそれくらい工場で働く社員は、役職者になりたがりません。

早い段階で相当な技術を身につけ、仕事の段取りもよく、周りからも一目置かれる若手のホープ。
そんなホープでさえ、人事面談で「製造課長」の役職の話をすると、表情が曇ります。
彼らの役職者になりたくない理由は、
➀ 部下をまとめたり、
➁ 現場でのトラブルに責任者として対応したり、
➂ 上層部と社員たちとの板挟みにあったり、
そんな「ややこしいこと」に巻き込まれたくないのです。

「出世なんか興味ない」
釣りバカ日誌のハマちゃんと同じです。
ハマちゃんは立身出世欲のない「稀有な存在」として描かれていますが、地方の工場ではごく普通です。
というか、ほとんどがハマちゃんです。

しかしこれは決して悪いことではありません。
みんな「モノづくり」は好きで、自分の技術を高めたいという思いはあります。
自分のところで製造が遅れないように、という責任感も十分あります。
それと出世欲がない分、ハマちゃん的な「人の良さ」があります。

とはいえ会社としては絶対に「課長」が必要です。
ですから、十年に一人くらい現れる「技術があって、会社の運営にも興味がある」、そんな貴重な人材を見逃してはいけません
地方の中小企業では、都会の会社や大企業のように役職者候補が並んで待ってはいないのです。

子供に教えられること

子供に教えられること

 

部下が、期待するレベルで動いてくれない、と嘆く管理職も多いでしょう。
自分なりに愛情をもって接し、部下を成長させるために叱咤激励しているのに、部下にその思いが伝わらないと
 
そういう人にこう言いたいです。
「うちの息子も言うことを聞きませんよ」
 
親なら誰しも、自分の子供に惜しみなく愛情を注ぎます。
子供のことを本気で心配し、良かれと思い、したくもない説教もします。
しかしたいがいの子供には、通用しません。
ひたすらうっとうしそうな表情をするだけです。
こっちも本気なだけにヒートアップすると、子供はさらにクールになったり。
よくあります。
子供が親の愛情に気づくのはずっと先、成長して自分が親になった時ではないでしょうか。
 
自分の子供も思うようにならないのに、他人の子供である部下が思うようになる、と考える方が間違いかも知れません。
少なくとも「それくらい思いを伝えるというのは難しいこと」と考えるべきでしょう。
部下が上司の思いを理解して感謝するのはもっと先、自分が上司になって部下をもった時かも知れません。
 
管理職のみなさん、気長に頑張りましょう !