景気が悪くなると、家の冷蔵庫の中もスカスカになるそうです。
ムダなものは極力買わないように。
冷蔵庫の奥で賞味期限切れを発生させないように。
今日要るものだけ今日買う。
明日要るものは明日買う。
バブルの頃、冷蔵庫をパンパンにしていた主婦も、在庫を減らして筋肉質な家計を構築しようとするのです。
この20年間会社もできるだけ在庫を減らし、ムダな資産は処分して筋肉質な財務を目指してきました。
そういえば昔は余分な在庫どころか、保養所やクルーザー、ベンツにマセラッティ、本業にまったく必要のないものもあちこちの会社の決算書に載っていました。
そのせいもあり、銀行借入も必要以上にありました。
なぜすべての会社が筋肉質を目指したのか。
何がライザップのような役割をしたのか。
やはり銀行です。
ある時から銀行が急に、「債務償還年数10年」というモノサシを企業に当てるようになったのです。
「全ての借入を10年で返済できない会社は借入過多」だと。
返済がキツくなって追加融資か期間延長を頼むと
「リスケ(リスケジュール)したら問題先に区分されるぞ」と騒ぎ立てる。
まったく根拠のない「10年」が、絶対ルールとなってしまったのです。
そんな状況のもと、企業は極力余分な借入をしない、できるだけ借入
を減らすという考えが定着しました。
それがここに来て、銀行は「もっと借りて」と言ってきます。
あの「10年」の話はどこに?
あれだけ「筋肉質になれ」と言っていたのに、今度は「少しぽっちゃりした方がいい」と。
そんな勝手な話にこちらも、「はい、そうですか」とは言えません。
俳優さんみたいに、急に痩せたり太ったりはできません。
銀行の貸出が伸びない原因は、他でもない銀行と金融行政にあるのです。