アサヒHDの東欧ビール事業買収、で心配なこと

 

アサヒグループホールディングスが、東欧5カ国のビール事業を8,880億円で買収する、と発表しました。
5カ国は、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア。
売主は、ビール世界最大手の、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)。
「バドワイザー」を生んだアンハイザー・ブッシュ(米国)を、2008年にベルギーのインベブが買収してできた会社です。

ネットニュースによると、今回の買収の背景には、売り手側の独禁法絡みの事情もあるようです。
その売り手側の事情に、アサヒが乗っかった感じでしょうか。
国内のビール市場が伸びない中、海外での成長を目論むアサヒにとっては、「渡りに船」だったのかも知れません。

この買収に、少し心配なことがあります。
「買収に8,800億かかる」とか、「本当に儲かるのか」とか、そういうことではありません。
ビールの本場の国々で、日本企業がビール事業を支配してよいのか、という懸念です。
買収先の中には、世界最初のピルスナービール、チェコの「ピルスナー・ウルケル」も含まれています。
それらの国で、もしビールが「食文化」の一部に位置付けられるようなものであるなら、それは永い時間をかけて、土地に、人に根付いたものです。
日本企業がそれを支配することは、好ましいことには思えません。
「食文化」をある程度共有してきた欧米の会社が買収するのとも、少し意味が違うような気がします。

このような企業や事業の買収においては、それが「工業製品」なのか「文化」なのかが大切な判断基準になるのではないでしょうか
「工業製品」ならOK、「文化」ならNG。
他国の神社仏閣、お城には手を出してはいけないのです。
日本企業がかつて買収した「ロックフェラービル」もアメリカの「文化」だったのです。

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