セブンイレブンの「61品目値下げ」は攻め ? 守り ?

コンビニ
セブンイレブンが419日、日用品61品目を値下げしました。
と言っても、セブンの主戦場ではない(あまり売れていない)、ナショナルブランド(NB)の日用品ですから、これで店舗収益がマイナスの方向に影響を受けることはないでしょう。
利用者としては、NBの「おーいお茶」を値下げしてくれたら嬉しいのですが。
 
一方イオンリテールも、4月中に250品目超の値下げをするとのこと。
こちらは主戦場の食品や日用品、しかもプライベートブランド(PB)NBともに値下げするということで、失敗すれば店舗収益がマイナス方向に動くこともあり得ます。
 
セブンは他業態から客を奪う戦略、イオンリテールは同業他社から客を取り戻す戦略です。
一見、セブンは「攻め」、イオンリテールは「守り」というように見えます。
 
しかしセブンとて順風満帆というわけではないでしょう。
店舗数の推移グラフを見ると、最近5年は異常な増え方をしています。
明らかに他のコンビニとの覇権争いに巻き込まれています
これまでローソンのお膝元で比較的セブンが少なかった神戸近郊でも、最近激しい出店攻勢をかけています。
他方、JR西日本のキオスクを一手にセブンが引き受けたり。
利用者からみると、かつての孤高のトップブランドというイメージが薄れてきました
 
最近、いつもセブンで買う「低脂肪乳」が2回連続欠品していました。
他のコンビニでは、なかなか置いていないのでセブンで買っていたのですが、これは偶然でしょうか。
「効率重視」から「覇権争い」に移行して、セブンの魅力がなくなってしまうのではないか、セブンイレブンファンとしては心配です。

銀行との付き合い方② 「リスクゼロ」

銀行

 

 

銀行員時代の上司、副支店長が言った言葉が今でも記憶に残っています。

銀行は融資をする時には、1%のリスクもとってはいけない
お客から預かったカネを貸し付けるんだから。
結果的に、何年か後に焦げ付いたとしても、融資を実行する時にはそのリスクはゼロにしなきゃダメだ」
分かりにくい言葉ですが、「銀行」を理解するうえでは、示唆に富んでいます。
 
景気が良かろうと悪かろうと、毎月のように会社の倒産は起きています。
その都度、どこかの銀行に貸し倒れが発生します。
現実には貸し倒れのリスクをゼロになんかできません
 当然副支店長も、すべての案件に「貸し倒れリスク」があることは分かっています。
副支店長が言っているのは、稟議書の書き方の「暗黙のルール」なのです。
例えば貸付の稟議書で、下のように書いたとします。
①今期は1000万の赤字を見込むが、今期のリストラ効果で来期は赤字幅が大幅縮小見込み。業績不透明につき若干の回収懸念はあるものの長年の取り引きを勘案し是非支援したい
これは絶対に「✕」です。
今期は1000万の赤字を見込むが、今期のリストラ効果で来期は赤字幅が大幅縮小見込み。業績不透明ながら、当社の売却可能な遊休不動産を勘案すれば、最終的な回収懸念なし
これなら「〇」です。
とにかく、間違っても「回収懸念がある」と書いてはいけないのです。
 
なぜなら、この微妙とも言える違いは、将来その貸し付けが焦げ付いたときに、大きな違いとなって担当者に戻ってくるからです。
それは銀行本部がする担当者・担当役職者の評価です。
①の場合 回収懸念があるものをなぜ実行した !
②の場合 融資時点ではリスクを察知できなかったのであれば、仕方がない。
となるわけです。
稟議書を「リスクゼロ」にするのは、銀行員自らを守るための術なのです。
そう考えると、案件が「リスクゼロ」なのではなく、銀行員にとって「リスクゼロ」なんですね。
 

履歴書の写真選び

履歴書の写真選び

 

 

たまに履歴書に残念な写真を貼って送ってくる方がいます。

写真を見て少し暗い感じかなーと思っていたら、実際に会ってみるとすごくいい雰囲気の人ということもよくあります。
 
確認したことはありませんが、就職活動のハウツー本にも、書類審査の印象アップのため写真はこうしなさい、と書いてあるはずです。
 
私も採用面接をします。
中途採用であれば応募から面接、採用決定まで2週間ほど。
新卒採用ならもっと長く   23ヵ月かかります。
その間実際に本人に会うのは12回、時間にして合計しても1時間にもなりません。
 
一方履歴書はその期間中ずっと手元にあり、履歴書の写真が本人のアバターとしてずっと私の目の前にあります。
採用決定会議も、履歴書を見ながら行います。
こうなると「見た目の印象」に限って言えば、本人よりも写真の方が強くなってしまいます
 
履歴書の写真は第一印象をよくするためだけでなく、応募から決定までの間ずっとその人のアバターとして機能しているんですね。
就活される方はそれを踏まえて、慎重に写真選びをされると良いと思います。

 

北朝鮮のトップの「決断」

勉強なんかするな !
北朝鮮を巡ってにわかに不穏な空気が漂ってきました。
米軍の先制攻撃の可能性もあり、というきわどい報道もあります。
 
現在の北朝鮮問題を見ていて、「トップの決断」について考えさせられました。
415日、北朝鮮は核実験をするのか。
すれば米国からの攻撃を受けるかもしれない。
しなければ国内で、米国に屈したとみなされる。
 
一方、もし核実験があれば、米国のトップも重たい決断を迫られます。
先制攻撃すれば東アジアに甚大なダメージを与えることに。
しなければ北朝鮮の核武装を容認したことになる。
 
すべては両国のトップの決断です。
これほどまで重たい決断は、日本のトップにはないでしょう。
 
北朝鮮も米国も、トップは自国内で強力な権力をもっています。
そう考えると「権力」と「決断」はセットなんですね。
北朝鮮の最高指導者をテレビで見ている分には、強権的で独善的で奔放な部分しか見えませんでした。
しかし今この時、世界で一番重たくて繊細な決断を迫られています。
「権力」がある限りは「決断」から逃げることは出来ないのです。
 
会社経営においても、「権力」を握る社長は「決断」から逃げることは出来ません。
自分で「決断」せずに下に委ねる社長もたまにいますが、そういう社長は「権力」も放棄しなければいけないのです。

ネット販売にも、強力な「接客」がある

ネット販売にも、強力な「接客」がある
私が財務でお手伝いをしている会社の中に、ジュエリー(宝石)の加工販売会社があります。
その会社が5年前、ネット販売(EC)を始めました。
その会社の商品の価格帯は平均30万〜50ですので、ライトジュエリーと言われるものよりアッパーグレードになります。
 
私はそんな値段の商品を
①現物を見ないで
②インターネットで(店舗も見ないで)
買うかなー、と当初は懐疑的でした。
 
ジュエリーの伝統的な売り方は、ご存知の通り、ショーケースを挟んで対面販売するスタイルです。
店によっては、一度食らいついたら放さない凄腕店員さんがいたり。
良くも悪くも「接客で売る」のが一般的です。
その接客なしには数十万のジュエリーなんて売れないんじゃないか、と懸念したわけです。
 
結果、私の予測は外れ、そのECは現在月商数千万になり、会社全体の売上の半分以上を占めるようになりました。
「接客なしには数十万のジュエリーは売れないんじゃないか」
という私の懸念は、見事に外れました。
私の最大の間違いは、「接客なしに」の部分でした。
実は、ネット販売でもしっかり接客をするのです。
もちろんショーケースを挟んでではなく、メールを使ってです。
数十万のモノを買おうとするお客様は、さすがにホームページを見ただけで「購入ボタン」をポチッとは押しません。
やはりメールや電話で問い合わせをしてきます。
それに対してメールで応えるわけですが、購入までにお客と何度も「メールのキャッチボール」をします。
 
実はこの「メールのキャッチボール」は、強力な接客なのです。
実店舗で凄腕店員に強烈な接客を受けても、何とかその場を切り抜けて店を出さえすれば、その接客からは解放されます。
しかしメールでやり取りする場合は、お客からの質問にすぐに返答メールを送れば、ボールは常にお客側にあります
大げさな言い方をすれば、お客は24時間このボールを持たされるのです。
つまりお客は、このメールを使った「接客」の中に24時間いることになるのです。
 
もともとSNSなどのネットでのつながりは、実際に会うよりも、気軽なものであるはずでした。
しかし「既読スルー」で多くの事件が起きているように、大半の人がネットでの人間関係に縛られているのです。
 
メールを使ってのお客とのやり取りが、店舗での接客に比べて決して弱いものではないということは知っておく必要があります。