経営会議で「資金繰表」の活用を

経営会議で「資金繰表」の活用を
多くの会社で月に一度「経営会議」をします。
私も毎月数社の経営会議に出席します。
 
大半の会社の経営会議メニューは
①先月の売上・利益状況を確認
②今月の目標の確認
③重要案件の協議と承認
④その他の情報共有
くらいでしょうか。
 
私はここに必ず
資金繰表の確認
を入れます。
この資金繰表は経理ソフトで自動に作成されるものでOKです。
(逆に経理担当者が実務で使うものは細かくなりすぎて、使いにくいです)
 
改めてですが、会社が倒産しないための条件は
・継続して利益が出ていること

・継続して資金が(会社で決めた)基準以上にあること

2つです。
片方だけではダメです。
 
ですから毎月幹部全員で、
「損益計算書」でどれだけ利益が出たか、
「資金繰表」でどれだけ資金(現預金)があるか、
を確認することが「倒産しない会社」にするためには重要です。
資金が大きく増減している場合は、みんなでその原因を突きとめます。
その探し当てるプロセスが、出席者のキャッシュフロー感覚を養います。
 
経営者や財務・経理担当だけでなく、むしろ営業や製造部門の責任者にキャッシュフローに敏感になってもらうために、経営会議での資金繰表の活用をおすすめします。

損益計算書(P/L)を見るポイント

コスト
小売業の損益計算書(例)です。

 

                (千円)
売上 120,000
 原価 48,000
粗利 (売上総利益) 72,000
 経費 (一般管理費販売費) 

 人件費、外注費、広告宣伝費、

 地代家賃、旅費交通費など  

68,000
営業利益 4,000
 営業外収益 500
 営業外費用 1,500
経常利益 3,000

※赤文字は原価や経費などの支払(マイナス)科目

損益計算書を見る時、通常上から下に眺め、一番下に利益が出ているかどうかを確認するでしょう。

でもそれで終わってはいけません。

損益計算書で最も大切な数字は、「粗利(売上総利益)」と「経費(一般管理費販売費)」です。
損益計算書を上から下に眺めると、先に「粗利」があって、その後に「経費」が出てきます。
しかし本当は順番が逆です。
会社が商売をする時、店舗用の物件を借りて、人を採用し、広告宣伝をします。
それらの「経費」をかけた後で、ようやく売上が上がり粗利が残るのです。
「経費」が先で、「粗利」があとです。
つまり「経費」をインプットして、「粗利」をアウトプットするのです。
この視点をもって、損益計算書の「粗利」と「経費」をじっくり比較検討しなければいけません。

中小企業の損益計算書を見ると、営業利益ベースで赤字を何年も続ける会社があります。
営業利益 = 粗利 - 経費
ですから、営業赤字を続けるということは、インプットよりアウトプットが小さい状況が続いているわけです。
50円稼ぐために60円投入し続けているのです。
そういう会社は、「経費」がインプット、「粗利」がアウトプットという視点が無いのです。

その視点さえあれば、営業赤字が続くことはないでしょう。
なぜなら、「経費」も「粗利」も、その気になれば相当部分コントロール出来るのですから。

顧客満足の現物支給

顧客満足の現物支給
財務研修を請け負うことがあります。
対象は会社の経営陣や幹部候補の人たち
 
中小企業の幹部には、経営数値に疎い人が結構多いです。
疎いだけならいいのですが、数字を軽視する人もいます。
大切なのは「顧客満足」だと。
経営に携わる立場の人であればこれは問題です。

なぜなら経営は、企業活動のすべてを数字にしていくことだからです

どんなにお客が満足していても、それだけでは経営になりません。
利益が出る値段で買ってもらい、期日に入金をしてもらう。
つまり「顧客満足」を「売上の数字」にし、自社の口座の「預金の数字」にしていくわけです。

こうして数字にしていかなければ、給与も支給できません。
「顧客満足」を数字に出来なければ、給与の振込が出来ないので、
「顧客満足」を現物支給するしかありません。
給与明細に書かれているのは「数字」ではなく、
「給与振込するお金はありませんが、お客さんはとても満足して感謝していますよ」の言葉。
数字軽視の幹部はこの現物支給を受け入れてくれるでしょうか。