「燃料電池車」か、「電気自動車」か。

「燃料電池車」か、「電気自動車」か。

 

2年ほど前、トヨタの「MIRAI (ミライ)」に試乗したことがあります。
水素を燃料とする「燃料電池車」ですね。
静かに走り出して、スーッと気持ちよく加速するのを実感して、文字通り未来はこんな車が主流になるんだなと思いました。

ただ恥ずかしながら、その時まで勘違いしていたのですが、燃料電池車は水素を燃やして走るものと思っていました。
そうではなく、水素を電気に変えて、その電気で走るんですね。
私が試乗で感じたあの乗り心地は「電気自動車」の乗り心地だったのです。

あれから2年、ここに来て自動車業界は一段と「電気」への移行方針を明確にしています。
先日ボルボは、2019年以降の新モデルはすべて電気自動車かハイブリッドにする、と宣言しました。
また、初めから電気自動車でスタートした米テスラは、「オーストラリアで大型蓄電システムを受注」したと発表しました。
こういうニュースを見ていると、「電気」「太陽光」「再生可能エネルギー」「原子力」「蓄電」「スマートグリッド」といった未来のエネルギーの話題の中に、「自動車業界」も飲み込まれようとしているのを感じます。

そこで少し気になるのは、冒頭の「燃料電池車」です。
CO2を出さない「夢のエコカー」であるはずの燃料電池車の記事を、新聞であまり見かけなくなりました。
トヨタが世界をリードしていることは間違いないのですが、後追いしている企業の話題がないのです。
エネルギーの変換効率や蓄電技術の進歩で、「燃料電池車」の優位性を危ぶむ声も出ています。

「燃料電池車」か「電気自動車」か「プラグインハイブリッド」か。
20年後に残っているのはこの中のどれかでしょう。
これを決めるのは「自動車業界」ではなく、エネルギーを取り巻く技術革新なのだと思います。
近いうちに自動車メーカーは、エネルギーの動向を踏まえて「どの道を選ぶか」、難しい判断を迫られることになるのでしょう。

邦楽が牽引する音楽業界、邦画が牽引する映画業界

邦楽が牽引する音楽業界、邦画が牽引する映画業界

 

昨年2016年の国内の映画興行収入1位は、もちろん「君の名は。」の235億円。
ヒットと言われる水準の30億円を超えた作品は、昨年1年間で、14本でした。
この14本という数字を、どう捉えたらよいか。
さかのぼって、1980年代の10年間に30億超えした映画がちょうど14本でした。
つまり1980年代の10年間のヒット作数を昨年1年でヒットさせたことになります。
最近の映画業界は非常に活況を呈しているんですね。

ではそのヒットした14本のうち邦画と洋画の割合はどうか。
昨年の14本のうち邦画は9本、洋画は5本。
1980年代の14本は、邦画が3本、洋画が11本です。
明らかに邦画が洋画を逆転しています
昨今の映画の活況は邦画がリードしていると言えそうです。

ところでかつて同じようなことが音楽の世界でもありました。
私が中高校生だった1980年前後は洋楽が日本中を席巻していました。
当時は、普通の男の子が洋楽に傾倒する仕組みがありました。
中学生になるとビートルズで洋楽入門し、その後はブリティッシュロック、ヘビーメタル、ディスコミュージック。
逆に、当時の若者にとって、邦楽はあまりカッコイイものではありませんでした。
しかし21世紀になるあたりから、日本では完全に邦楽(J-POP)が洋楽を押し出しました。
音楽マーケットを拡大させながら。

映画もこの音楽と同じパターンを、なぞっているように見えます。
ハリウッドの大作頼みだった映画業界が、国内作品でお客を集めることが出来るようになったのです。
そうなら音楽がそうだったように、映画もまだまだ市場規模が大きくなるかも知れません。
日本の映画業界、有望です。

リサイクル市場急成長で高まる、「中古部品需要」

リサイクル市場急成長で高まる、「中古部品需要」

 

先日、知り合いのお店が、中古の業務用冷凍庫を買いました。
急速冷凍機能付きなので、新品定価が140万、それをネットで買うと50万くらい。
昔から業務用冷蔵庫の定価はあってないようなものです。
それでも高いので中古品を探し、14万で購入しました。
4、5年前の型ですが、機能的には現在のものと遜色なく、満足のいく買い物と喜んでいました。

最近はリサイクル業者も増え、オフィスや厨房などのカテゴリー専門店も出てきたので、非常に選びやすくなりました。
多店舗展開する業者などは、売るときも買うときも安心して取引ができます。
それらの店舗に行ってみると、中古機器も非常にキレイな状態で保管してあります。
特に、新規出店と閉店が繰り返される飲食業界では、厨房機器のリサイクルは今や不可欠なものになっています。

しかし中古品を買うと、困ることもあります。
部品の注文が難しいことです。
今回の冷凍庫の場合も、庫内の棚を9枚追加したいということになりました。
見た目簡単な棚なのですが、ホームセンターなどを探しても、サイズの合うものはありません。
冷凍庫のメーカーに問い合わせすると、棚1枚・棚受金具4個セットで1万2千円とのこと。
9枚買うと10万8千円。
メーカーの軽いイジワルに思えてしまいます。
新品を買うときであれば、安く追加できるのでしょうが、この場合まったく値引きがききません。
本体が14万、追加棚が10万では悲しすぎます。
もう少しリサイクル業者の方で棚を探すことになりました。

海外向け中古自動車のリサイクルでは、部品単位で流通しているようです。
これからもリサイクル市場が伸び続けるならば、部品や修理の需要も伸び続けるはず
手間のかかる仕事ではありますが、中古部品販売は成長の可能性がある商売ではないでしょうか。

ひどいラジオ体操をセルフチェック !

ひどいラジオ体操をセルフチェック !

 

毎朝8時のラジオ体操から仕事が始まります。
部署ごとにするのですが、月曜は全体朝礼なので、全社員が並んで体操します。
見ていると、工場の子たちのラジオ体操がとにかくひどい
腕を大きく回すところでは、ひじから先がわずかに動くだけ。
ジャンプするところでは体を上下にゆするだけ。
30代・40代の社員たちが、非常に子供っぽく見えます。

彼らと話をしてみると、ラジオ体操をすることに異論があって抵抗しているわけではなさそうです。
ただ仕事そのものではないし、一所懸命するのもカッコ悪いし、先輩たちもそんな感じだし、何となくそんなやり方になってしまったのです。
確かに、彼の国のマスゲームみたいに「みんなが揃ってビシビシ」である必要はありません。
ちゃんと体がほぐれて、見た目がみっともなくなければ良いのです。

自分の姿・行動がみっともないレベルになっていないか、セルフチェック(自己診断)する方法があります。
「今の自分の姿を、自分の子供に見せられるか」と自問するのです。
子供が会社見学に来たと想定して、今の自分のラジオ体操を見たら子供はどう思うか、を自問すれば良いのです。
子供がいない人は両親が会社見学に来たと想定します。

日頃子供に、「もっとちゃんとしろ」「まじめにやれ」と言っているお父さん。
そのラジオ体操で子供のことを注意できますか?

地方の工業団地に異変

地方の工業団地に異変

 

最近私たちの会社がある、地方の工業団地に異変が起きています。
長い間売れずに残っていた区画に、この2年で次々と有力企業の進出が決まっているのです。
しかも今最も注目されている製薬会社や医療機器製造会社など、超優良企業が進出を決定しています。

25年前に整備公団が分譲開始した50区画は、つい3年前までかなりの数が売れ残っていました
それが現在は完売状態です。

なぜ急に売れ始めたのか。
東日本大震災以来高まっている、自然災害に対する「備えの意識」から、大企業が工場の地方分散に動いているのか。
それとも景気回復に乗って、スマート工場の新設をしているのか。
それともこのエリアの評判が、急によくなったのか。

先日、市の産業立地担当者と会う機会があったので、事情を訊いてみました。
確かに有力企業の国内新工場への投資意欲は高まっているとのこと。
ただ売れている最大の理由は「市が必死に売っているから」だそう。

3年前、公団から売れ残り区画をすべて買い上げ、市が直接販売する形に切り替えたとのこと。
県の東京事務所・大阪事務所の駐在員と連携、有力企業に直接誘致活動を仕掛け、企業からの要望を聞きながら経済条件を柔軟に緩和しているそうです。
例えば、
土地代金の4割を補助
土地取得税免除
建設する建物の取得税も免除
工場稼働開始から3年間固定資産税も免除
その他、雇用にも助成金
といった感じで、何かの「特区」ではないかというような優遇です。

有力企業を誘致して、若い人たちの流出を防ぐ、同時に都会からの人口流入を促す。
地方の県や市ができる人口減対策は、企業誘致以外にないのです。
定価で買った私たちからすると複雑ではありますが、それでも有力企業が進出してくることは、地域にとっても私たちにとっても喜ばしいことです。

市担当者曰く、次の工業団地用地を物色中とのこと。
待ったなしの人口減問題、地方自治体は本気で必死です。