JOCエリートアカデミー、「選手ではなく、システムに投資する」

 

テレビ番組で、「JOCエリートアカデミー」のディレクターの方がお話をされていました。
アカデミーでの選手強化の手法は、
「選手に投資するのではなく、システムに投資する」
のだそうです。
JOCエリートアカデミーは、日本オリンピック委員会(JOC)が、将来のメダリスト輩出のために設けた中高生対象の養成所。
あの卓球の張本選手も在籍しています。

「選手ではなく、システムに投資する」
それは、有望選手を発掘して個別の強化を施す、という手法ではなく、
いろんな選手が利用できる育成システムを用意して、それを継続的に進化・高度化させる、という手法です。
そのシステムに乗っかった選手たちが、結果的に強化される、という考え方です。
これはおそらく、エリートアカデミーに限らず、JOCの方針でもあるでしょう。

「選手ではなく、システムに投資する」メリットは何か。
それは幅広くタレントを発掘できる、ということではないでしょうか。
そもそも、誰が将来金メダルを取るか、なんて誰にも分かりません
今世界一の選手でも、2年後ケガやスランプに見舞われているかも知れません。
ヘタに誰かを選ぶより、出来るだけ多くの選手が利用できる育成システムを用意して、それを絶えず進化させていく方が、堅い投資になるでしょう。
それが上手く機能すれば、注目されていなかった選手群からもトップアスリートが波状的に生まれ、代表レベルの選手層がぐっと厚くなります。
陸上男子100mの充実ぶりなどは、その成果かも知れません。

これは会社経営にも通じます。
「人ではなく、システムに投資する」
会社は、「人」次第であり、「人」の成長がキモであることは間違いありません。
しかし、特定の社員を集めて実施する「幹部候補者研修」は、必ずしも投資効果の高いものではありません。
それよりも日々の仕事の中に社員が成長するための仕掛けがちりばめられている方が、より多くの社員に成長のチャンスを与えられるでしょう。
その仕掛けが、「教育システム」として継続的に進化させられれば理想的です。
そうすれば、思わぬところから思わぬ人材がポツポツ出てくるものです。

霞が関や上場企業は、エリートをMBA留学させます。
「とりあえず、勉強して来い」と。
「人」に多額の投資するわけです。
しかし、お金が少ない、そんなエリートもいない中小企業は、
「とりあえず、勉強して来い」という「人」への投資は、やってはいけません。
そのお金を、「システム」に振り向ける方が賢明です。
「思わぬところから思わぬ人材がポツポツ出てくる」システムです。

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