銀行に対して借入金利の引き下げ交渉をするとき、スムーズに進めるためのコツがあります。
それは、「金利引き下げ」を銀行担当者の「お手柄」に転化することです。
金利の引き下げは銀行の収益減少に直結しますから、銀行にとってはイヤな話です。
客から「金利を下げて」と頼まれても、「はい、そうですか」と簡単には下げたくありません。
銀行担当者にとっても、イヤな話です。
客の希望通りに「金利変更稟議」を上申したら、上司からは
①交渉力がない
②客のいいなり
➂収益に対する意識が低い
といった悪い評価をされてしまうでしょう。
ですから銀行や銀行担当者がネガティブな反応をするのは当たり前です。
またそうなってしまうのは、客の交渉の仕方に問題があるのです。
ではどう交渉すればよいか。
まず、金利を下げたい借入について、
「他行から0.8%低い金利で肩代わりしたいという提案があった」
という架空のストーリーを作ります。
この場合、「ウソも方便」ですが、そのウソもつきたくないなら、事前に他行に行って本当に肩代わりの提案をしてもらうのも良いでしょう。
昨今の状況なら、喜んで提案書を作ってくれます。
次に、そのストーリー・提案書を持って銀行担当者を訪問します。
担当者に
「他行がこの借入の肩代わりを何度も提案してくるから困っている」
「でもお世話になっている貴行の借入を他行に移したくない」
「他行が提案している0.8%とまでは言わないが、0.5%下げることを検討してほしい」
「それなら他行に移さないよう社内調整できる」
「また0.5%下げてもらえるなら、若干の借り増しをしてもいい」
だいたいこれでスムーズに引き下げてくれます。
※この手法を使うのは、相場より高い金利の借入だけにしてください。
ポイントは、「金利引き下げ」という担当者にとってネガティブな話を、ポジティブに変えてあげることです。
このストーリーに沿って引き下げをした場合、担当者は
①他行の肩代わり工作に対し、貸出を守った
②しかも他行提案より高い金利で
➂貸出も増やすことができた
と、良い評価をされます。
担当者個人にメリットがあるので、ほっといてもスムーズに稟議が回ります。
この真実は銀行に限ったことではありません。
取引先にモノを売る時も、その会社にとってのメリットだけでなく、購買担当者のメリットも併せて提案すると成約率は上がります。
担当者のメリットとは、担当者の「お手柄」になることです。
間違っても付け届けではありません。