新規事業は川べりで始める

 

新規事業にチャレンジするときには、
「自分のアイデアを世に出せば、お客が集まってくる」
と考えてしまいがちです。
それくらいの自信とヤル気と少々の勘違いが無ければ、新規事業の立ち上げは出来ないかも知れません。
しかし、それは
「世の中の流れがどうであろうと関係ない、流れは自分が作る」
と考えているのと同じです。
とてつもなく難しいことを自分に課してしまっているのです。
ただでさえ難しい新規事業の立ち上げを、さらに難しくするわけですから、成功確率はドンと下がってしまいます。

以前、アパレル大手W社の専務からアドバイスを受けたことがあります。
「商売するときは、川がどこを流れているかをよく見て、その川べりでせなあかん。
流れのないとこでは、何やっても、なんぼ頑張ってもムダや
当時絶好調だったW社でさえ、川を探して、川べりまで商品を持って行って、商売をしていたのです。
一番売れやすい場所を探し、売りやすい方法で売る。
自分が流れをつくる、なんて考えていません。
考えているのは、商売を出来るだけ簡単に、簡単に、簡単に

冒頭のように「お客が集まってくる」と考える人ほど、事業開始後の現実に慌てふためきます。
この慌てふためくことが、事業を迷走に向かわせます。
ですから、新規事業に取り組むときは、
「どんなにいいアイデア・いい商品であっても、世の中の人にはなかなか伝わらない
というところからシナリオを書くくらいでいいのではないでしょうか。
そうすれば、一番売りやすい場所、一番売りやすい方法をたくさん考えるようになるでしょう。
「最初の2、3か月はほとんど売上は見込めない」
そう考えていれば、事業開始後しばらく売上が立たなくても、迷走することはないでしょう。

考えてみれば、本当に優れたアイデア・優れた商品であれば、あとはお客にアプローチするだけのはず。
お客が集まるのを待つまでもなく、こちらから持って行けば良いのです。
お客に知ってもらい、手に取ってもらい、体験してもらう仕組みを地道に構築していけば、着実に売上は上がります。
慌てる必要はありません。

繰り返しになりますが、
アイデア・商品に対する過度の自信 → お客が集まるという妄想 → 現実は売れず → 焦り → アイデア・商品への自信喪失 → 迷走
という「負の連鎖」に陥ってはいけません。

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