モノづくり大国の根っこにあるもの

モノづくり大国の根っこにあるもの

 

モノづくり大国「日本」という言葉は、何となく日本人のプライドをくすぐります。
モノづくり、技術が日本を世界有数の経済大国に押し上げた、と。
 
旧財閥系グループの会合でも、製鉄や重工が一番上座で、次に化学とかがあって、銀行が一番下座という序列があると聞いたことがあります。
日本を引っ張ってきたのは製造業なんだ、と言わんばかりに。
 
私たちの会社は典型的なモノづくりの会社です。
鉄やステンレスの大きな板を切って、曲げて、吊って、溶接して、製品にして、塗装して。
そんな会社にいると、「モノづくり」の別の面も知ることになります。
 
一番つらいのは労災事故です。
切れたり、挟まれたり、巻き込まれたり。
何かが起きた時は、会社中が異様な緊張感でいっぱいになります。
 
環境や人体への影響も気になります。
設計が悪いのか、現場が間違えたのか、大きな失敗作が外に並べてあるのを見ると、これは資源の無駄遣いだなーと思います。
また製造過程で出る、アルミの粉や塗装の排水も基準を守っているとはいえ、環境や体にやさしいものではありません。
 
夏の食堂はとにかく汗の臭いでいっぱいです。
しかし空調もない40℃をはるかに超える工場で、バンバン溶接をする彼らのおかげで会社は利益を上げることができるのです。
 
こういう危険や環境汚染や健康被害や汗のにおいが、モノづくり大国「日本」の根っこにあるものです。
いわゆる3Kですね。
私はこれからも日本がモノづくり大国であり続けるためには、これらのKをすべてなくしていく必要があると考えます。
今の私たちの会社は、この3Kを引き受けているからこそ、仕事が来ているのだと思います。
しかしそんなことを言っていたらこの先確実に働き手がいなくなります。
 
モノづくり大国の根っこにある問題を、モノづくりの力で解消していく、それこそがモノづくり大国を未来につないでいくのに不可欠なことだと思います。

老後についての、ムダな心配は一切やめる

老後についての、ムダな心配は一切やめる

 

50歳になる前後に友人から一冊の本をもらいました。
清水義範さん著の「50代から上手に生きる人、ムダに生きる人」
その本に、いい話がありました。
ムダな心配は一切やめる」という話です。
 
最近、「少子高齢化」「年金削減」「下流老人」「老後破産」が喧伝されます。
これから老人になる人間にとって、とんでもない時代が待っていると。
われわれ中高年の不安をあおるものばかりです。
 
著者は、それを否定します。
そんなことはない。
個々の人間が老人になったとたんに「生活力」がゼロになるはずがない
歩くことが出来て、手が動いて、字が読めるなら、何とかして生きていけるくらいのお金はどうにかなるに決まってる。
だからムダな心配は一切やめなさい、と。
 
確かに、将来そんな困窮した老人であふれるのなら、今だって少しくらい自分の周りにサンプル老人がいそうなものですが、実際にはいません。
みんな収まるところに収まっています
 
老人に限らず、個人個人の「生活力」は、思いのほか強いです。
私たちの会社でも、残念ながらポツポツと辞めていく社員がいます。
「この子はこんな状態でウチを辞めて、この先大丈夫かなー」と思った社員でも、あとで野垂れ死んだ、なんて話は聞いたことがありません。
みんな自分で働く場所を見つけ、自分でパートナーを見つけ、自分で楽しみを見つけて生きています
みんな何とかなっているのです。
 
「今」を生きる力があるなら、「将来」も生きることができる。
ムダな心配は一切やめましょう。
 

実現可能性の高い「中期経営計画」をつくる ②

実現可能性の高い「中期経営計画」

 

中期(5年)経営計画を作成する際、まず「現状維持計画」を作ります。
現状維持が5年続いたら、キャッシュフローや貸借対照表はどう推移するかを確認しておこうというものです。
 
仮に、現状維持計画で4年目にキャッシュ不足になると分かった場合、その対策をどのように計画に盛り込むか
これも大切なポイントです。
 
ここで陥りやすい間違いは次のパターンです。
①キャッシュ不足にならないように売上予算を増やす
②キャッシュ不足にならないように経費予算を減らす
そのようにエクセルの表で、数字を入れ替えながらシミュレートするのは簡単です。
しかし実際に売上増・経費減することは簡単なことではありません
結局その予算は「希望的予算」です。
キャッシュ不足は会社の倒産原因になり得る重大な問題です。
その対策を、希望的予算で片づけては絶対ダメです
 
正しい対策は、
③キャッシュ不足にならないよう、4年目に新規借入をする
④もしくはそれまでに借入を組み替えて返済額を減らす
ことです。
もし①②の計画だけで済ませてしまうと、財務担当者がすべき確実な対策③④をしないで時間が過ぎてしまいます
③④をやったうえで、結果的に①②もできてかなりの資金余剰になったとしたら、それは素晴らしいことと評価したらよいのです。
 
キャッシュ不足の対策だけは、希望的予算に頼るのではなく、確実かつ能動的なものを必ず計画に入れておきましょう。

実現可能性の高い「中期経営計画」をつくる ①

実現可能性の高い「中期経営計画」

 

一般的に中期経営計画の「中期」は5年です。
ですから今後5年間の
①損益計算書
②貸借対照表
③キャッシュフロー推移
の計画を数字で並べることになります。
 
一般的には、まず損益計算書を5期分並べることから始めます。
この時、一番最近の期(直近期)の損益をもとに、毎期数%ずつ売上が上昇するような計画を立てる会社が結構多いです。
「経営計画」となると何か上向きになる要素を盛り込まなければいけないと考えてしまうからです。
 
しかし最初にしなければいけないのは、単純に直近期の損益計算書の数字をそのまま5期分並べてみることです。
この最初に作らなければいけない表を現状維持計画と呼ぶことにします。
これは非常に大切な表です。
なぜなら、経営計画を立てる上で、現状を認識すること、足元を知ることが不可欠だからです。
現状維持が5年続いたら、キャッシュフローはどうなるか、また銀行返済は問題なく進めていけるか。
現状維持が5年続いたら、貸借対照表はどう変化するのか、自己資本比率はどの程度になるのか。
現状維持計画を認識しないと有意義な経営計画を作ることは出来ません。
 
例えば、現状維持計画で5年後に十分な利益とキャッシュの積み上げができることが分かれば、売上増よりも設備更新や新事業への投資などに注力した計画になるかも知れません。
また例えば、現状維持計画で4年目にキャッシュ不足になることが分かれば、その対策を計画に織り込まなくてはいけません。
 
現状維持計画を基準にすることで、自社のテーマを盛り込んだ戦略的な中期経営計画を作ることが出来るんですね。
最初から数%ずつの売上増計画を作ってしまうと、それだけですべてが解決してしまい、自社の抱えている課題が置き去りになってしまうのです。

地方の高卒採用事情、求人倍率2倍の異常

採用
昨日、「県内就職促進協議会」に参加してきました。
県が主催するこの協議会は、「高校の進路指導担当者」と「企業の採用担当者」との出会いの場です。
県としては、就職希望の高校生が県外に出ることなく、地元に残ってくれるよう、高校と県内企業のマッチングに必死なのです。
人口減問題を抱える地方自治体にとって、高校生の県外就職も悩みのタネなんですね。
 
その協議会でもらった昨年の高卒者就職状況の資料によると、
県内企業求人倍率 1.71
②県内就職内定者 : 県外就職内定者 = 80 : 20
つまり県内の就職希望高校生の数に対し、1.71倍も企業は求人しているのに、生徒の2割は県外に出てしまうのです。
そうすると
県内就職者に対する県内企業求人倍率 2.14
に跳ね上がってしまいます。
県内の企業が地元の高校生を採用しようと思っても、採りたい人数の半分も採用できない勘定になります。
 
「半分採れればいいじゃないか」
と言われそうですが、現実は違います。
一社一社が希望数の半分を採用できるわけではありません。
現実は、高校生の「行きたい会社ランキング」で上位半分の会社は希望数確保、下位半分の会社は採用「0となるのです。
つまり、上場企業やそれに準ずる中堅企業、または高校生でもなじみのあるB to C企業などでほぼ満了してしまうのです。
 
そんな状況ですから、内定率は昨年も99.6%。
「全員合格」です。
希少な工業高校ならともかく、普通科も含めてのことですから、すごいことです。
「どんな子でも採用される」という状況は、それはそれで異常な気がします
 
まあ我々もそんな評論じみたこと言ってる場合ではありません。
これから始まる難しい採用活動、いい縁がありますように。