巨人12連敗に考えさせられること

巨人12連敗に考えさせられること

 

巨人ファンではありません。
しかし11連敗目と12連敗目の試合はBS放送で観ました。
こんな状況で巨人はどんな試合をするのか、興味があったのです。

それにしても2試合ともハンパない緊張感でした。
負けたら今日で終わり、の甲子園の試合を観ている感じでした。
プロ野球は勝って負けて、負けて勝って、終わってなんぼ、のはず。
だけどここまで追いつめられると、「この試合」になってしまうんですね。

会社経営も似たようなものです。
勝って負けて、負けて勝って、最後に締めてなんぼ残るかです。
全部勝とうと思うと、社内的にも取引先との関係もギスギスしてきます。
負けが立て込んで資金繰りに窮してくると、勝つことしか考えられなくなります。
だから大切なのは十分な資金をいつも確保しておくことです。
20連敗くらいしても全然平気なくらいの資金を。
もちろん20連敗はしてはいけません。
しないために十分な資金をもって、余裕をもって「勝ち」と「負け」を配置するのです。

野球もビジネスも「絶対」はありません。
やる前に今日は、この試合は、絶対勝てる、なんていうことはないのです。
だからこそ、優勢に進んだ試合は確実に勝つ、明らかに負けそうな試合は戦力を温存する、ことが大切なのだと思います。

巨人ファンではないので、巨人にどんな戦力があるのか知りません。
しかし無責任なことを言わせていただくと、連敗を止めるためにもう一試合負けてみるのはどうでしょう。
負けてもいい、と覚悟して思い切った選手起用をするのです。
この2試合、責任感のあるベテランがガチガチです。
ちょっと休ませて、この連敗にあまり責任感を感じる立場にない選手を入れてみるのもよいと思います。
戦況によって途中からでも出場できるのですから。
負けてもいいと割り切った試合が、勝ち試合になることもよくあることです。
余計なお世話でした。

人工知能(AI)に勝てる脳

人工知能(AI)

 

Googleの人工知能(AI)「アルファ碁」が中国の世界最強棋士に3連勝したそうです。
この種のニュースは時々流れます。
囲碁以外でも、将棋やチェスやオセロなど、最近は最強プロがAIに勝てなくなってきました。
そういうニュースを見ると、「感心する」というよりも、つまらない世の中になってしまうのではないか、とちょっとドンヨリした気持ちになってしまいます。

ただ、そのようなボードゲームは、AIが最も得意な分野でしょう。
明確なルールがあって、「勝つ」という明確な目的がある。
途中に打てる「手」が何万あろうと、AIにはへでもないこと。
「勝ち」を競うなら、人間に勝ち目はなくなるでしょう。

AIにとって手ごわい相手は、例えば「勝つ気がない」人です。
碁盤を挟んで向かい合ってはいるけど、無理やり連れて来られた、囲碁なんてしたくない、勝ちたいとも思わない、興味ない、ウザい、という人です。
そんな人を前にするとAIは無力です。
「ソウイワズニ、イッショニ、ゴヲタノシミマショウ」
対戦の前に、ヤル気にさせないといけないのです。
現在のAIのレベルではこの強敵をヤル気にさせることはまだ難しいでしょう。

今後AIが発達していく過程で、最後まで手こずる相手は、「変わり者」です。
それも一見して「変わり者」ではなく、私たち一人一人の中にある「変わり者」の部分
自分では認めたくない部分だったり、隠したい部分だったりするところです。

AIがこれからどこまで私たちの生活に入り込んでくるかは分かりませんが、私たちの内側の「変わり者」を正確に認識するようになるには、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。
最強棋士に勝ったことは、ようやくスタートラインに立ったという感じでしょう。

お布施ローン

お布施ローン

 

大学を卒業して、銀行に入社した1年目のこと。
融資関係の帳票が入っている棚を整理していると、
「〇〇提携ローン申込書」
というのを見つけました。
○○は宗教法人名です。

先輩に「この申込書は何ですか」と尋ねました。
先輩は「あまり使うことはないけど、お布施ローンだね。
信者さんが、お布施したいけど手元にお金がないときにローンを組むんだ。
上限は200万。
宗教法人が保証してくれるから、銀行も貸し倒れになるリスクはないんだよ」
と教えてくれました。

新入行員の私には、ちょっとしたカルチャーショックでした。
世の中、こんなことが行われているのかと。
と同時に、「うまいこと考えるなー」と感心してしまいました。
先輩の説明の通り、銀行にとっては大きな宗教法人の保証があるのでノーリスク。
宗教法人にとっても、入ってくるお金について保証するだけなので、ノーリスク。
途中で信者さんが返済できなくなっても、残金を宗教法人が代わりに払えばすべてまるく収まります。
返済が進んだところまでが実質的なお布施になるのです。

他人の「連帯保証」は絶対してはいけない、と言われます。
私もそう思います。
しかし「お布施ローン」方式なら、連帯保証しても良いかも知れません。
例えば、誰かにお金を貸していてなかなか返してくれないケース
相手に銀行から借り入れをさせて、そのお金で返してもらう。
その銀行借入だけは連帯保証する。
金融機関を間に入れることで、返済の強制力が強くなり、最終的に回収する可能性が高くなるのです。

新規事業は川べりで始める

新規事業は川べりで始める

 

新規事業にチャレンジするときには、
「自分のアイデアを世に出せば、お客が集まってくる」
と考えてしまいがちです。
それくらいの自信とヤル気と少々の勘違いが無ければ、新規事業の立ち上げは出来ないかも知れません。
しかし、それは
「世の中の流れがどうであろうと関係ない、流れは自分が作る」
と考えているのと同じです。
とてつもなく難しいことを自分に課してしまっているのです。
ただでさえ難しい新規事業の立ち上げを、さらに難しくするわけですから、成功確率はドンと下がってしまいます。

以前、アパレル大手W社の専務からアドバイスを受けたことがあります。
「商売するときは、川がどこを流れているかをよく見て、その川べりでせなあかん。
流れのないとこでは、何やっても、なんぼ頑張ってもムダや
当時絶好調だったW社でさえ、川を探して、川べりまで商品を持って行って、商売をしていたのです。
一番売れやすい場所を探し、売りやすい方法で売る。
自分が流れをつくる、なんて考えていません。
考えているのは、商売を出来るだけ簡単に、簡単に、簡単に

冒頭のように「お客が集まってくる」と考える人ほど、事業開始後の現実に慌てふためきます。
この慌てふためくことが、事業を迷走に向かわせます。
ですから、新規事業に取り組むときは、
「どんなにいいアイデア・いい商品であっても、世の中の人にはなかなか伝わらない
というところからシナリオを書くくらいでいいのではないでしょうか。
そうすれば、一番売りやすい場所、一番売りやすい方法をたくさん考えるようになるでしょう。
「最初の2、3か月はほとんど売上は見込めない」
そう考えていれば、事業開始後しばらく売上が立たなくても、迷走することはないでしょう。

考えてみれば、本当に優れたアイデア・優れた商品であれば、あとはお客にアプローチするだけのはず。
お客が集まるのを待つまでもなく、こちらから持って行けば良いのです。
お客に知ってもらい、手に取ってもらい、体験してもらう仕組みを地道に構築していけば、着実に売上は上がります。
慌てる必要はありません。

繰り返しになりますが、
アイデア・商品に対する過度の自信 → お客が集まるという妄想 → 現実は売れず → 焦り → アイデア・商品への自信喪失 → 迷走
という「負の連鎖」に陥ってはいけません。

人材バブルの今、ムリな採用はしない

採用

 

先月末、5月30日に厚労省から発表された、「一般職業紹介状況」によると、4月の有効求人倍率は1.48倍
最高は福井県の2.06倍、最低は北海道の1.13倍。
最低の北海道でさえ、1.0倍以上です。
正社員有効求人倍率も0.97倍と、ほぼ1.0倍近くまで上がってきています。

先日書いた通り、地方の高卒求人倍率は実質2倍、内定率も99%以上。

< 2017/5/23  地方の高卒採用事情、求人倍率2倍の異常 >

こうなると完全に、「人材バブル」です。
内定率がほとんど100%ですから、選考で落とされる人がいないということ。
悪い言い方ですが、どんな商売でも売れ残りが数パーセント発生して当然です。
売れ残りがまったく無いのは、バブルの証拠。

30年前のバブル時代、どんな不動産でも売れました。
路地の奥にある、草ぼうぼうの小さな空き地、隣のアパートの浄化槽の臭いがひどい物件でさえ数千万で売れて行きました。
バブルは、みんなが実需の無いものを手に入れようとするから起きるのです。
今、手に入れなければ損をする、と。
しかしバブルが崩壊すれば、なんであの時あれだけ焦って手に入れようとしたのか、となります。

現在の求人もそんな状態に見えます。
今そこまで逼迫していないのに、「今採っておかないと、将来大変なことになる」と考えている会社が相当な割合あるのではないでしょうか。
こういうバブルに乗っかるのは危険です。
とくに新卒は限られた数からの取り合いですから、中小企業がいい人材を採れる可能性はグッと下がっています。

私たちの会社も、新卒採用活動を頑張りますが、いい学生と出会えなかったら「採用ゼロ」で良し、と考えることにしました。
2、3年待ってみる、という戦略もあります。