日割り予算 ② 「星取表」のススメ

日割り予算 ① 今日の売上は、今日しか取れない

 

「日割り予算」は、その名の通り、月の予算を日ごとに割り振りしてつくります。
一年以上営業している店舗なら、前年同月の売上データがあります。
前年同月の日売り実績を参考に、今年の日割り予算を組むこともできるでしょう。

日割り予算が出来たら、ここでおススメしたいのは、「星取表」です。
店舗に「日割り予算」と「星取表」をセットで渡すのです。
「星取表」とは、新聞の大相撲欄にある、○●○○●○○・・・、というやつですね。
勝てば○(白星)、負ければ●(黒星)。
店舗で日割り予算を達成すれば○を記入し、未達なら●を記入します。
月末に○が16個、●が15個なら、16勝15敗で「勝ち越し」です。
店舗の予算管理(目標管理)に、勝ち負けの「星取表」を使うわけです。

星取表の効果は、店舗スタッフが一日一日勝負する感覚になること。
また月次の売上実績も、「達成率90%」というよりも、「14勝17敗」の方が、現場感覚に近いでしょう。
スタッフは、日々の予算達成で○を積み上げ、月単位では「勝ち越し」を目指すのです。

ところで、月間で星取が勝ち越すと、月の売上予算が達成となるのか、という疑問が残ります。
「勝ち越し」=月予算100%達成、になるのか。
実際に運用してみると、これが不思議とそうなります。
ただし、「日割り予算」の割り振りが、めちゃくちゃでなければ。

どんな業種の店舗であっても、相当な割合でアルバイト・パートさんがいます。
そういうライトスタッフを巻き込んで、全員で予算達成を目指すなら、達成率の数値管理よりも、勝ち負けの「星取表」の方が分かりやすく、盛り上がります
一日の終わりに「遅番さん」が、掲示板の星取表に○か●を書き込み、翌日「早番さん」がそれを見て一喜一憂する。
白星の数だけささやかな報奨を出すのも良いでしょう。

店舗は、その日その日で勝負をしています。
それをサポートするツールとして、「星取表」は使えます。

日割り予算 ① 今日の売上は、今日しか取れない

日割り予算 ① 今日の売上は、今日しか取れない

 

店舗には毎日の売上目標があります。
「日割り予算」と呼ぶ会社もあるでしょう。
「日割り」というくらいですから、もともと月の予算があってそれを日数で割って、曜日などを加味して算出します。
店舗スタッフはこの「日割り予算」を達成するために、日々店頭を整え、接客に注力しています。
もし日割り予算がなく、月の予算だけだったら、日々の目標意識が希薄になってしまうでしょう。

ところで店舗は、当たり前ですが、今日の売上は今日しか取れません
「今日は売上が悪かったから、明日頑張って取り返します」
店長たちがよく口にする言葉です。
しかし明日頑張って取る売上は、「明日の売上」です。
「今日の売上」ではありません。
今日の売上は今日取るしかないのです。

例えば、今日朝から強い雨が降って、スーパーマーケットの客足が伸びないとします。
スーパーの店長は、今日来れなかったお客が、明日天気が回復したら来店してくれると期待します。
しかし実際には、お客はそのスーパーに行かなかった分、近くのコンビニに行ったり、雨でも濡れない大型スーパーに車で行ったりします。
もしくは、宅配ピザを頼んだり、家にあるもので簡単に済ませたり。
お客の選択肢が増えた近頃では、スーパーが期待するほど次の日に取り返すことは出来ないのです。

結局店舗は、その日その日で勝負をしているのです。
月で勝負をしているわけではありません。
月の売上実績は、日々の売上実績の合計に過ぎません。
ですから、店舗にとって「日割り予算」は大切です。
それだけに日割り予算は、店舗スタッフがチャレンジしがいのある適正なものでなくてはいけません。
実態を無視した高い「気合の目標」ではスタッフは萎えてしまいます。

管理職は、何を「管理」する ?

管理職は、何を「管理」する ?

 

管理職が一番「管理」しなければいけないものは、「仕事の領域」だと考えます。
ちょっとカッコよく「領域」としましたが、「仕事の範囲」でも構いません。

「部下」が「範囲」をはみ出さないように。
「顧客」が「範囲」をはみ出さないように。
「商品」が「範囲」をはみ出さないように。
「価格」が「範囲」をはみ出さないように。
「商圏」が「範囲」をはみ出さないように。
などなど。

各部署には会社から期待されている「役割」と「成果」があります。
部署は「役割」の範囲内で、最大の「成果」を目指します。
そのために大切なことが「はみ出さない」ことなのです。

上のように「はみ出さない」ことを連呼すると、制限だらけのネガティブな仕事を想像してしまいます。
しかしそうではありません。
例えば、同じ売上が取れるのであれば、顧客数50名よりも10名の方が、効率が上がり儲かります。
商品アイテム数(種類)も少ない方が、効率が上がり儲かります。
商圏も狭い方が儲かります。
つまり同じ売上を取るなら、狭い範囲で取った方が、格段に効率が上がり儲かるのです。

ヤル気があってアイデア豊富な部下ほど、あれこれ手を広げようとします。
そのヤル気は認めるとしても、それでは儲からない方向に動いてしまいます。
そういう部下こそしっかり「範囲」を制限してやるべきです。
その部下がもつ「アイデア」や「行動力」を決められた範囲内に集中させ、仕事を広げるのではなく深掘りさせるのです。
その結果、部下の仕事は儲かる仕事になり、深掘りされた商品・サービスは競合他社に勝てるものになるでしょう。

この逆をやっている管理職は結構多いです。

社内人事を「予約」する ②

社内人事を「予約」する

 

社内人事で「予約」が活用できるケースが他にもあります。

古参の社員に「役職定年」を言い渡すケースです。
例えば、20年近く総務部長をしている古参社員に、役職を退任してもらうケース。
総務部長との人事面談で、
「3年後の60歳で、総務部長を次長にバトンタッチしましょう。
でもその後もこれまでの経験を生かして会社のサポートをお願いします。
70歳まで一緒に頑張りましょう 」
と伝えるのです。
3年後という、なが〜い「予約」です。

中小企業では「何歳で役職定年」と決めている会社は少ないのではないでしょうか。
その時までに後釜をつくる仕組みが出来ていないからです。
そのため、上記のような古参社員への「言い渡し」は非常に気をつかう仕事です。
それを3年先という長い「予約」にしてしまえば、前向きな伝え方が出来ます。
これを、「今期末で役職を降りてほしい」などと伝えたら、本人が前向きにとらえることはないでしょう。

実は古参社員自身も、この先自分の立場はどうなるのか不安なのです。
この予約をすることで
➀3年間は今の役職を続けることが出来る
➁3年をかけてじっくり引き継ぎが出来る
➂その後も仕事を続けることが出来る
とポジティブに受け入れてくれます。
そうなれば引継も円滑に進むでしょう。

伝えるのが難しい人事、伝えるのが難しい相手ほど、十分な期間をとった「予約」を早めにすることが肝要です。

社内人事を「予約」する ➀

社内人事を「予約」する

 

人材が十分に揃っている、足りているという会社は少ないでしょう。
私たちの会社も、いつもどこかの部署に「人不足」が発生しています。

経営側としては、人員は少し足りないくらいが、ちょうどいいと考えます。
人員に対して仕事量が少しオーバーフローする状態は、
➀仕事に優先順位をつける
➁重要でない仕事を切り捨てる
➂仕事のやり方を変える
という効率化のチャンスでもあるからです。

しかしその部署の仕事が滞って、他の部署に影響を与えるようでは困ります。
私たちの会社では現在、購買部がそういう状況です。
材料・部品を調達する部署なので、ここが欠品を出してしまうと、工場の製造計画は混乱してしまいます。
現在購買部は、仕事量に対し一名足りない状況で、部員の残業で何とかまかなっています。
設計部から一名購買部に異動させたいのですが、設計部の抵抗も相当に強い状況です。
一名抜かれると出図が遅れてしまうと。

こういう時に使う「いい手」があります。
異動を「予約」するのです。
設計部長も、購買部が苦労しているのはよく分かっています。
設計から一名異動させなくてはいけないことも。
ただ、「今」はまだ動かしてほしくないと。
そこで「今」ではなく、半年後くらいで異動を「予約」してしまうのです。
設計部長も、「まあ半年後ならば一名抜けても何とか回せるようになるか」と応じてくれます。

私の経験から言えば、この「予約」をしないと、人員不足に関する状況は1年、2年と持ち越してしまうことが多いです。
購買部の「今欲しい」、設計部の「今は無理」の問答を、何年も繰り返してしまうのです。
「半年後」は購買部長からすると「先すぎる」のですが、結果としては確実に円満に人員を増やすことが出来ます。
それに、経ってみると半年なんてあっという間です。

早く異動させたいなら、そのニーズを早く発見して、早く予約することが大切です。