働き方改革も外国主導 じゃ寂しい

働き方改革も外国主導 じゃ寂しい

 

国内でトラックを製造するメーカーは4社あります。
これを多いとみるか少ないとみるかは難しいところです。
いずれにしても、トラックの国内市場は、何十年もこの4社の寡占状態が続いています。
ただ今世紀に入って起きた大きな変化は、4社のうち2社が外資の傘下に入ったことです。
三菱ふそうがダイムラーの傘下に入り、日産ディーゼルがボルボの傘下に入って社名が変わり「UDトラックス」に。

半分が外資になったことで何が起きたか。
ズバリ、非常に合理的になりました

4社すべてが日本メーカーだったころは、今より格段に激しいシェア争いをしていました。
9月や3月、いわゆる期末月には各社が無理な売上上積み合戦。
各社の工場やその下請け工場は、徹夜で作業することもザラでした。
不景気で平常月は採算が取れないくらい少ない仕事量でも、期末だけはこなし切れない量が来るのです。
シェア争いのために無理な値引きしては仕事を取り、無理な仕事が工場に回ってくる。
まったく不合理で非効率で不経済でした。

それが今では、業界全体で不毛なシェア争いはありません。
もちろん一般的な競争はあるでしょうが、期末だけ無理な押し込みをするようなことはなくなりました。
逆に工場の効率を上げるために、年間を通して仕事量の平準化を図っています。
効率化の競争をしているようにさえ見えます。
今はまた一歩進んで、各社とも原則在庫を持たず全台受注生産するスタイルに変わりました。

トラック製造業界で働く人にとっても、毎月計画的に仕事が進み、地獄のような期末の残業がなくなりました。
非常に良い変化が起きたのですが、これは2社が外資になったことが関係しているように思われます。
働き方改革まで外国主導では寂しいです。

「純資産合計」は、これまでの頑張りの凝縮

「純資産合計」は、これまでの頑張りの凝縮

 

貸借対照表の右下にある
「純資産合計」は経営者にとって非常に重要な数字です。
なぜなら会社設立以来あれこれ頑張ってきた成果が、そこに凝縮して表現されているからです。

例えば、資本金1,000万で設立した会社が10年後、
➀純資産合計が3,000万であれば、
10年間で元手1,000万を3,000万に増やしたことになります。
➁純資産合計が1,000万であれば、
10年間で元手1,000万を全然増やせていないことになります。
➂純資産合計が300万であれば
10年間で元手1,000万のうち、700万を食いつぶしてしまったことに。
➃純資産合計が-500万であれば
10年間で元手1,000万を使い果たした上に、他人のおカネまで500万使い込んでいることになります。

このように元手の「資本金」を、これまでの経営でどれだけ増やせたかを「純資産合計」で確認するわけです。
売上や利益の伸びには敏感な社長も、この「純資産合計」には関心を持たない方が多いです。
いざ確認してみると、
「あれだけ売上は伸びたのに、これだけしか元手を増やせてないのか」
ということも。

中小企業の一番の弱みは、この「純資産合計」が小さいこと。
これを着実に増やしていくことが強い会社に近づくことです。
そのためにやるべきことはいろいろあるのですが、まずは「純資産合計」をチェックすることから始めましょう。

福島第一原発を、「原発記念公園」「原発会議場」に

福島第一原発を、「原発記念公園」「原発会議場」に

 

ここ数日、福島第一原発のニュースが続いています。
原子炉内部にロボットを入れて、内部の状況を調査しようという試みです。
それにしても、事故から6年が過ぎた今も、原子炉内部の「燃料デブリ」を発見することすら出来ていません。
それくらい、壊れた原発の取り扱いが難しい、ということなのでしょう。

原子力発電所の再稼働に賛成・反対、双方に言い分があります。
でも、「将来のどこかでは原発をゼロにしなければいけない」という考えは、万人に共通しているのではないでしょうか。

日本には広島と長崎に平和(記念)公園があります。
原爆を落とされた唯一の国、日本。
ヒロシマとナガサキの平和記念公園には「原爆の怖さ・悲惨さ・愚かさ」を発信し続ける役割があります。

原発事故は過去に他国でも起きましたが、原発が世界中に拡散した後に起きた事故としては、福島第一原発が初めてです。
その世界に与えたインパクトは甚大です。
その証拠に、米国でさえ原発の新設に対し極めて慎重になり、その影響もあり東芝ショックが起きました。
世界中が原発の安全性について一層懐疑的になったのは、間違いありません。

今後世界中で原発がなくなる方向に動くなら、福島第一原発は、「原発記念公園」として原子力の脅威を記録・発信していく役割を担ってはどうでしょうか。
今はまだ廃炉や汚染水処理の道筋もつかない状況です。
それらが確定し、格納容器の中が片付いて、突発的な事故の危険がなくなった状況になれば、「原発記念公園」も可能でしょう。
そこには会議場を併設し、原発に関する会議は必ずその会議場でするのです。
汚染水処理のタンクがどんどん建設されている横で、「原発の再稼働や新設や安全性やコスト」に関する会議をするのです。
東京で会議をしてはいけません。

福島にとって本当に不幸な事故ではありますが、だからこそ世界で唯一の「原発記念公園」を設定し、その体験を世界に発信してほしいと思います。
世界の人がフクシマに来て、原発事故の実態を知り、汚染水処理の規模に驚き、事故の代償の大きさを学ぶ。
もちろん私たち日本人も。
そんな「原発記念公園」が構想できるくらいに、早く周辺環境が落ち着いてほしいものです。

ぶつからない新幹線

新幹線

 

先日新聞で、「川崎重工と三菱商事がバングラデシュの鉄道車両・関連設備を受注する見込み」という記事を見ました。
車両数は100両、受注額は数百億とのこと。
これは国際協力機構(JICA)の円借款1,735億で、首都ダッカのインフラを整備する一環です。

こういう鉄道インフラの輸出は、安倍内閣の成長戦略の一つに位置付けられています。
これまでの最大受注は2012年〜13年に日立が受注した、イギリスの高速鉄道(IEP)
866両、8,800億円のビックプロジェクトです。
この車両製造が今、山口県下松市の日立笠戸事業所でフル操業状態で行われています。

以前、その笠戸事業所の方にIEPについてお話を伺ったことがあります。
笠戸事業所では通常、JR新幹線車両N700をメインに作っています。
新幹線もIEPもアルミで作られるのは同じなのですが、安全に対する考え方に大きな違いがあるとのこと。
それは、新幹線は「ぶつからないこと」を前提に車両を作り、IEPは「ぶつかること」を前提に作るのだそうです。

新幹線は、ソフト面では運行管理システムを高度化し、ハード面では全線を高架にして、絶対にぶつからない仕組みを作っています
ですから車両は「ぶつからないこと」を前提に、アルミの板厚を薄くして軽量化し、省エネを目指しています。

一方IEPは、新幹線ほどの高度化された運行管理システムを持っていませんし、高架でなく地上を走ります。
ですから車両は、ある程度「ぶつかること」を前提に、アルミの板厚を新幹線の約2倍にし、さらに先頭車両には大きな「衝突衝撃吸収装置」がついています。
万が一、何かと衝突しても、運転士の命を守ることを目指しているのです。

つまり、➀運行システムで安全を確保するのか、➁車両強度で安全を確保するのか、の違いなんですね。

ところで何年か前に、中国の高速鉄道の衝突がありました。
高架の上で車両同士がぶつかる衝撃的な映像でした。
あの鉄道車両は、日本の新幹線車両がベースになっているとのこと。
そうであれば、高度化された運行管理システムが絶対に必要なのですが・・・。

一番のライバル店に売る、という選択

一番のライバル店に売る、という選択

 

2年近く前に、スーパーマーケットの閉店に関わったことがあります。
そのスーパーは地方の旧市街地にありました。
ただでも周辺の人口が減少する中、郊外に出店してきた大手スーパーに客を取られ、隣に出来たコンビニにも客を取られ、売上はどんどん減少しました。
最後は資金もきびしくなり、万策尽きた状態に。

このまま座して死を待つか。
それとも、少しでも負債を減らすために、店を買ってくれる会社を探すか
しかし儲かっていない店を売ることは、簡単なことではありません。
考えて考えた挙句に決めた策は、「一番のライバル店に売る」ことでした。
長い間客を取り合ってきた、100m先のAスーパーへの売却。
今の今まで戦ってきた相手に、店を売ることを決めたのです。

地元の銀行に仲介してもらい、秘密裏にAスーパーと交渉。
結果、予想以上にすんなりと売却が決まりました。
価格もまずまずでした。
売買完了後、Aスーパーは自店舗を閉鎖し、こちらから買った店舗を改装しました。
2店舗を統合したのです。
Aスーパーのオペレーション能力の高さもあり、現在その統合店は大変な繁盛をしています。

そりゃあそうです。
2店舗が1店舗になり、お客が倍増したわけですから。
Aスーパーは店を買うと同時に、お客を買ったのです。
(従業員も大半継続雇用してくれました)
Aスーパーにとっては、統合後の客数を予測することは、熟知したエリアなので非常に簡単なことだったでしょう。
それだけとってもリスクの少ない買収だったはずです。
この例でも分かるように、実はこちらの店の価値を一番認めてくれるのは、一番のライバル店なのです。

スーパーに限らず、縮小するマーケットでは何らかの統合が必要です。
「一番のライバルに売る」という選択は理にかなっているのです。