毎月7日14日21日28日は、「売上管理の日」

毎月7日14日21日28日は、「売上管理の日」

付き合いのある小売店や飲食店に対して、
毎月7日、14日、21日、28日を、「売上管理の日」
にするよう、推奨しています。

小売店、飲食店、ネットショップなど、日々の売上が立つ業態にとって、「今日の売上状況・今月の売上状況」が常に気になります。
今月の売上の良し悪しを判断する場合、昨年対比(昨対)を使うのが一般的でしょう。
昨年の同月と比べれば、季節要因などを修正する必要が無く、同条件で比較できるからです。
「昨対115%」
といえば、「この1年でどれくらい上向いたか」という「程度」まで表現できます。

ただ困るのは、月中に昨対を見たい場合です。
単純に、その日までの累計を比較することはできません。
曜日のズレがあるからです。
例えば今年の11月20日は月曜ですが、昨年の11月20日は日曜です。
小売店・飲食店の大半は、曜日の影響を大きく受けます。
土日に売上の7割が集中する店舗や、火曜の特売日に他の曜日の2倍売る店舗など、さまざまです。
そのため、20日時点で昨対を見ようと思うと、曜日の影響を修正してやる必要があります。

しかしこの修正はなかなかにやっかいです。
いろいろ修正方法は考えられますが、そこまで手間をかけて、20日時点の昨対を出しても得るものは少ないでしょう。
それに対し、毎月7日、14日、21日、28日の「7の倍数日」に昨対を出すなら、曜日の影響を修正する必要はありません
これら「売上管理の日」だけ、エクセルでオートマチックに昨対を出して、じっくり眺めることに時間を割いた方が得策です。

10日ごとに昨対を出したり、毎週月曜に昨対を出したりするのは、「労多くして功少なし」です。

さよなら、メガバンク

さよなら、メガバンク

メガバンクの国内店舗統廃合のニュースが飛び交っています。

三菱東京UFJ銀は、フルバンク型500店舗を2023年までに半減。
みずほ銀も先日から、「地方での住宅ローンから撤退」、「全国800店舗の半分を小型店舗に切り替え」など、国内業務の縮小方針が明るみになっています。
当然両行とも万人単位の人員削減を目論んでいるのでしょう
そんな話と並んで、メガバンクがこぞってベトナム・タイ・インドネシア・フィリピンなど東南アジア諸国で攻勢をかけている、との記事もあります。
今や、メガバンクの利益の半分は海外で稼いでいるのだとか。
「儲からない国内は捨てて海外に」、がメガバンクの考え方のようです。

しかしメガバンクの国内でのヤル気のなさは今に始まったことではないでしょう
少なくとも2、3年前には中小企業向けの融資に関しては積極さが感じられなくなっていました。
出口が見えないゼロ金利政策のもとでも、逃げ場のない地方銀行は融資のボリュームを上げて、何とか収益を上げようとしてきました。
一方メガバンクの担当者からは
「融資なんてしても儲からないでしょ、やるだけムダ。
やるならフィービジネスですよ」
という雰囲気が露骨に出ていました。

最近、私たち中小企業にとっても、メガバンクの存在意義が何なのか分からなくなってきました
その昔、今のメガバンクが都市銀行と呼ばれていたころ、中小企業にとって都市銀行との取引は「ステータス」でした。
会社案内の「取引銀行欄」のトップには、都市銀行の名前をもってきたものです。
請求書に記載する振込口座に都市銀行の口座を書くのも、相手先が振り込むのに便利だから、という理由だけではないでしょう。
それよりも何よりも、都市銀行に当座預金を開設して、小切手や手形を振り出すことは名実ともに自社の信用度を誇示するものでした。

しかしネットバンキングが当たり前の今、小切手を受け取ること自体、迷惑以外の何物でもありません。
約束手形の慣行も見直され、手形流通量も激減、「カッコイイ」手形が必要ではなくなりつつあります。
都市銀行取引のもう一つのメリット、「貸出金利の低さ」も、今や地方銀行との差はありません。

都市銀行がメガバンクになり、その資産規模は世界トップクラスになりました。
三菱UFJフィナンシャルは269兆で、中国工商銀行に僅差で次いで2位、みずほが13位、三井住友が16位。
しかしその過程で、私たち中小企業のメガバンクに対する「ステータス感」「ロイヤルティ」は、激減しました。

メガバンクが今、本気で検証しなければならないのは、その点ではないでしょうか。
なぜ顧客は「ステータス感」「ロイヤルティ」を持たなくなったのか。
まだ利益の半分は国内で稼いでいるのですから。

儲からない会社の、「おカネの遣い方」

儲からない会社の、「おカネの遣い方」

 

以前、二十代後半の女性社員が、
「最近友達の結婚式が続いて、出費がすごいんです。
毎日頑張って節約してるのが馬鹿らしくなってきます。」
と嘆いていました。
一人暮らしの彼女は、家賃をはじめ生活費をすべて自分で支払い、その中でコツコツと将来の結婚資金を貯めているのだそう。
お昼も外食はもっての外、毎日自分で作った弁当を持参、机で済ませます。
そうしてコツコツ貯めたお金がドーン、ドーンと出ていく
「節約が馬鹿らしくなる」という彼女の気持ちも理解できます。

しかしヤケになってはいけません。
ヤケになって節約をやめ、放漫なカネ遣いをしてしまうと、一気に奈落の底です。
「祝儀の3万円」は、避けられない接待交際費であり、金額も妥当です。
ムダ遣いではありません。
「毎日弁当で節約する500円」は経常的なランニングコストを削減する、これも評価できるアクションです。
両方ともまったく問題のない、正しいおカネの遣い方です。
このように、おカネの遣い方は、金額の大小ではなく、遣い道ごとに評価され管理されるべきものなのです。

もう一つ、パチンコにハマる主婦の話。
パチンコ愛好家の主婦の中で、ある程度の枠の中で遊べる人と、枠を超えて破滅に向かう人がいます。
破滅型の主婦の特徴は、パチンコでの勝ち負けを繰り返す中で、パチンコの収支と家計費がごっちゃになってしまうことです。
日に7万勝ったり10万負けたりを繰り返すうちに、50円安いスーパーを探す気が無くなるのです。
節約なんかしなくても、パチンコに勝てばいい。
そんな節約したって、パチンコに負けたら何の足しにもならない。
このように、金額の大きいパチンコと、小さい家計費を分けて管理できなくなると、破滅に向かいます。

中小企業のおカネの遣い方にも通じるところがあります。
大きなおカネを遣うときはそれなりに慎重に検討するのに、少額の支払いには無頓着な会社があります。
このような会社は「儲からない会社」です。
社内規則で、1万円以上の支払いだけ稟議をする、といった金額基準を設けている会社は多いでしょう。
これは実務的に仕方のないことではありますが、1万円未満の支払いの中にもムダな経費、不正な支払いがないか目を光らせなくてはいけません。
それができない会社は、「儲からない会社」に転落します。

冒頭の彼女は、毎日500円節約するから、祝儀の3万円を払えるのです

次世代に先送りしていけないのは、プライマリーバランスの赤字

プライマリーバランス

 

次世代に先送りしてはいけないもの、それは「大きな借金」ではなく、プライマリーバランスの赤字です。

プライマリーバランス(基礎的財政収支)とは、国が会社と同じように決算をしたとすると、「損益計算書」の営業利益に当たります。
営業利益=売上-経費
ですから、本業の収支、本業のもうけを表しています。
プライマリーバランスも、国債の発行や、国債の元利支払いを除いた、国の本業部分の収支です。

借金である国債1,000兆円は大きな数字ですが、それ以上に十分な資産があり、高い成長率があるのであれば、必ずしも致命的な問題ではないでしょう。
民間企業でも装置産業であれば、年商の何倍もの借入がある優良企業もあります。
問題は、プライマリーバランスの赤字、つまり営業赤字です。
営業赤字を続ける会社に、健全企業はありません。
営業赤字を続ける会社は、一つ残らず問題企業です。

国も同じでしょう。
一年だけ赤字なら、それは震災などの特殊要因のせいかも知れません。
数年間赤字なら、それは産業革新に対応した先行投資かも知れません。
しかし、日本のプライマリーバランスは1992年の黒字を最後に、四半世紀赤字を続けています。
いろんな事情があるとは言え、これはもう「体質」になっているのではないでしょうか。
今あるものは削ったり手放ししたくない、足りなければ借りたら何とかなる、という体質。
極端な言い方をすれば、
「お金が無いのに惰性でパチンコに行く」
ような借金体質です。
次世代に1,000兆円の借金を引き継ぐのは仕方ないとして、この「体質」は引き継いではいけません。
子供に「親子リレー住宅ローン」を引き継ぐのであれば、それをきちんと返していける術を身につけさせる必要があります。
借金は引き継いでも、「借金体質」は引き継いではいけないのです。

儲からない売上

 

以前、アイスクリームブランドの立ち上げに携わっていた時の話です。

東京に1号店を出店し、半年後には都内の商業施設に2号店を出しました。
2年目には大手百貨店から、「お中元カタログ」への掲載を提案されました。
私はその提案にすぐ乗っかりました。
というのも、実は1号店、2号店の売上が計画の半分もいかない状況で、売上がほしくてしょうがない状況だったのです。
とにかく売上がほしい、どんな売上でもいいからほしい。

6月に入り、百貨店の中元がスタート。
産地直送形式なので、商品はアイスクリーム店から直接発送します。
百貨店からアイスクリーム店舗には、記入済みのヤマトの発送伝票が送られてきます。
中旬になり、伝票が日に2、3枚来るようになりました。
初めて掲載したのに、結構買ってくれる人がいるんだなと喜んでいました。
下旬になり、伝票は日に50枚になり、100枚になり、200枚になりました。

慌てました。
1セットが、カップアイス12個入りで5,000円。
12個のうち4個はパティシエメイドの手が込んだアイスになっています。
それなりの在庫はストックしていたのですが、このまま増えて行けば絶対に足りなくなる。
百貨店のギフトだけに、「足りない、送れない」は絶対許されません。
パティシエたちは毎日深夜までアイスを作りつづけました。

人海戦術でなんとかなるものは良いのですが、困ったのは在庫の保管場所です。
厨房の冷凍庫も店舗の冷凍庫もいっぱいになり、入れるところがありません。
それでも作り続けなければ品切れになる恐れがあります。
それで仕方なく、外部の冷凍倉庫に預けることにしました。
店舗スタッフが段ボールにカップアイスとドライアイスを詰め、冷凍運送業者に依頼して倉庫に搬入。

結局その夏、百貨店からもらった注文は1ヵ月半で、1,600セット、売上にして800万、通常の何倍もの売上が立ちました。
どれくらい利益が出るんだろう、期待しながら試算表を待ちました。
結果、損益はトントン、期待外れの数字でした。
百貨店の歩率は分かっていたことですが、人件費、倉庫代、運送費など、予想していなかった経費が大きく膨らんでしまったのです。
あの忙しさは何だったのか・・・。

この件で学んだことは、
➀モノを動かしたら儲からない
➁社外に仕事を出したら儲からない
ということ。
単価の安い商品を、「あっちに動かしこっちに動かし」してしまうと、すぐに儲からなくなってしまうのです。
製造や発送が増えることに伴う人件費増は、変動費として売上増で吸収されるので、問題ありません。
しかし冷凍倉庫代・往復の冷凍急便代、それにかかる人件費は、売上に対する変動費にはなりません
まったく余計な費用です

自社の物理的なキャパシティーを超える売上は、儲からない売上なのです。