社員が一番怖れる言葉、「そろそろ課長になるか」

社員が一番怖れる言葉、「そろそろ課長になるか」

 

地方で製造業を営む私たちの会社では、上席からの「そろそろ課長になるか」という言葉は、社員が一番怖れる言葉です。
冗談のようですが、本当にそれくらい工場で働く社員は、役職者になりたがりません。

早い段階で相当な技術を身につけ、仕事の段取りもよく、周りからも一目置かれる若手のホープ。
そんなホープでさえ、人事面談で「製造課長」の役職の話をすると、表情が曇ります。
彼らの役職者になりたくない理由は、
➀ 部下をまとめたり、
➁ 現場でのトラブルに責任者として対応したり、
➂ 上層部と社員たちとの板挟みにあったり、
そんな「ややこしいこと」に巻き込まれたくないのです。

「出世なんか興味ない」
釣りバカ日誌のハマちゃんと同じです。
ハマちゃんは立身出世欲のない「稀有な存在」として描かれていますが、地方の工場ではごく普通です。
というか、ほとんどがハマちゃんです。

しかしこれは決して悪いことではありません。
みんな「モノづくり」は好きで、自分の技術を高めたいという思いはあります。
自分のところで製造が遅れないように、という責任感も十分あります。
それと出世欲がない分、ハマちゃん的な「人の良さ」があります。

とはいえ会社としては絶対に「課長」が必要です。
ですから、十年に一人くらい現れる「技術があって、会社の運営にも興味がある」、そんな貴重な人材を見逃してはいけません
地方の中小企業では、都会の会社や大企業のように役職者候補が並んで待ってはいないのです。

アストロズ青木選手、メジャー初登板 !

アストロズ青木選手、メジャー初登板 !

 

米メジャー・アストロズの青木宣親外野手が、6月30日のヤンキース戦でメジャー初登板をしました。
4対10と大差を付けられた9回表、敗戦処理投手としての登板です。
さらに3点を献上する結果になりましたが、「投手陣温存」という目的は立派に果たしました。
現在3冠王のスラッガー、ジャッジから空振りを奪い、最後はセンターフライに打ち取る、というオマケまで付きました。
ヤンキースのベンチから楽しそうに見ている「マー君」も印象的でした。

ところで、野手がピッチャーをしなければいけない、メジャーリーグの過密スケジュールとはどんなものか。
シーズンは4月〜9月の180日あまり、その間に162試合が組まれています。
計算上、休みは18日ですから、ちょうど10日に1日しか休みがない、ということになります。
ちなみに日本のプロ野球は、185日の間に144試合。
計算上、4.5日に1日が休みです。
つまり、メジャーの休日は日本の半分もないのです。

おまけにメジャー30球団の本拠地球場のうち、ドームは5球場のみ。
梅雨のある日本ほど雨は多くないようですが、それでも雨天中止になるケースは相応にあるでしょう。
すると振替でさらに過密スケジュールに。

ベンチ入りする登録選手数は、日本と同じ25名。
地区割りしてあるとは言え、あの広い国土を転戦しながら20連戦することもザラらしいので、とんでもない過重労働です。
間違っても、日本の「鉄人」と呼ばれるような連続試合出場など出来ないのです。

私は当初、イチロー選手や青木選手の当番は、「ムダなことはしないよ」というアメリカ的な合理的敗戦処理だと思っていました。
また敗戦濃厚な試合でのファンサービスなのか、とも。
おもしろいから、日本でもやればいいのにな、とも。
しかし、あらためてメジャーの超過密スケジュールを見ていくと、第一義は本当にやむにやまれぬ戦力温存なのだということが分かりました。
休みがそれなりにある日本では、やらない方がいいですね。

それにしてもメジャーリーガーは働きものです。

財務担当者が、「売上計画」に信ぴょう性を与える

財務担当者が、「売上計画」に信ぴょう性を与える

 

今後3年間の経営計画を立てるとき、「売上」の数字は通常、「営業担当者」が入れます。
しかしその数字に根拠・信ぴょう性・実現可能性を裏付け・肉付けしていくのは「財務担当者」です。

営業担当者は、「売上を伸ばしたい」「伸ばさなくてはいけない」という思いをベースに売上計画を立てます。
その最たるものは、昨年対比5%売上増、2年目・3年目も同様に5%増、みたいな昨対上乗せ計画です。
この上乗せには、ほとんど根拠がありません。
結果、3年後に達成してもしなくても、「計画比〇〇%でした」で終わってしまいます。

営業責任者が売上計画を立てる前に、財務担当者は今後3年間の「売上予測」を立てなければいけません。
過去数年の部門別・商品別の売上傾向(上昇度合・下降度合)から、今後3年間の部門別・商品別の売上予測を立てるのです。
これまでの部門別・商品別の売上実績グラフをそのまま3年分延ばすだけですから、財務担当者にとっては簡単な作業でしょう。

その「売上予測グラフ」をベースに、営業担当者は売上計画を立てます。
今までの延長線上の売上を、営業施策でどれだけ増やせるか。
それは結局、部門別・商品別の予測グラフの線を、どれくらい上に持ち上げるかを計画することになるのです。

もし部門別・商品別の「売上予測」が無かったら、この営業担当者は、ほっといても6%増えるはずの部門・商品に5%増の目標を設定してしまったかもしれません。
逆に毎年3%減の予測が出ている部門・商品にも、5%増という無謀な目標を設定してしまうかもしれません。

売上計画に根拠・信ぴょう性・実現可能性を与えるのは財務担当者の「売上予測」なのです。

中小企業の「実践的」財務分析 ②

中小企業の「実践的」財務分析

 

財務分析は、会社の「健康診断」です。

私たちが毎年受診する健康診断では、受診後に「結果表」が送られてきます。
その結果表には、検査項目ごとに自分の数値と、判定結果が記載されています。
白血球数 54.4      判定A (基準値32〜86)
中性脂肪 230  判定E (基準値30〜149)
γ-GDP         22       判定A (基準値0〜50)
などなど。
私もそうですが、結果表が届くと、このABCDE判定に一喜一憂します。
昔、夏休み前に通知表が配られ、そっと開いたときと同じように。

しかし、この判定は必ずしも正しいものではありません。
正しいのは「中性脂肪230」という数値であって、それが本当に「E」と判定されるほど悪い状態なのかどうかは分かりません。
人それぞれ個人差と個性があります。
基準値・平均値から離れていても、その人にとっては必ずしも異常値ではないかも知れません。
尿酸値がずっと9.0以上あっても、まったく痛風を発症しない人がいます。
逆に基準値内でも、発症する人もいます。

ですから、「判定」は参考程度にしておいて、注視しなければいけないのは、数値がどう変化しているかです。
それぞれの数値がいい方向に動いているのか、良くない方向に動いているのか。
「中性脂肪」は去年179だったから、悪い方に行ってるな。
最近、食生活が荒れているからかな。
酒を減らして、もっと野菜とらなきゃ。

大切なのは数値の変化をウォッチすること。
そしてその変化の原因を見つけ改善のアクションを起こすことです。
中小企業の「財務分析」もまったく同じなのです。

中小企業の「実践的」財務分析 ①

中小企業の「実践的」財務分析

 

「財務分析」と聞くと、貸借対照表や損益計算書の数字から、「自己資本比率」や「流動比率」を算出することをイメージします。
しかし、それは中小企業にとっては、「学問的」な財務分析です。
中小企業では、「学問的」財務分析の前に、「実践的」財務分析をしなくてはいけません。

中小企業の「実践的」財務分析は、貸借対照表や損益計算書を、時系列に並べることから始めます。
並べた数字をじっと眺め、科目ごとに増減をチェックします。
どの科目が増えて、どの科目が減っているか。
数字の並びを穴が開くくらい見るのです。
そうやって、数字の変化から会社の状態を読み解きます。

例えば、損益計算書を5年分並べる。
エクセル上に並べた数字を眺めて、増減している科目を探す。
「売上」は毎年着実に上がってる、4年連続増収だ。
「外注費」は3年前まで増加傾向だったのに、それ以降は減ってきている。
「広告宣伝費」は2年前から急増している。

増減している科目を見つけたら、その変化はなぜ起きたのかを考えます
さらにじっと数字を眺めながら考えるのです。
「売上」が増えたのはネット販売が増えた分だな、店の売上はそんなに増えていないから。
「外注費」は、売上が増えればそれにつれて増えるものだけど、3年前から内製化を進めたからこの動きになっているんだな。
「広告宣伝費」が急増したのは、間違いなくネット販売の「クリック広告」だ。
という感じです。

この「数字の変化」と「会社でやったこと・起きたこと」を一つずつ結びつける作業こそが、「実践的」財務分析です。
それを進めると、逆に「何をすれば、数字が変化するか」が明瞭になってきます。
何に取り組めば、数字が良くなるのか。
何をやめれば、数字が良くなるのか。
この財務分析は「会社のアクション」に直結しています。
だから「実践的」なのです。