相変わらず好調、「ドン・キホーテ」②

相変わらず好調、「ドン・キホーテ」

 

ドン・キホーテのすごいところは、
「なんてことない日用品の買い物をレジャーにしてくれる」
ことではないでしょうか。

例えば、お風呂場で頭を洗っていて、シャンプーが残りわずかなことに気づく。
「あぁ、もうなくなったかー。
面倒くさいけど明日会社の帰りに忘れずに買いに行かなきゃ」
となります。
日頃使う消耗品が切れて、それを補充することは、面倒以外の何物でもありません

しかし近くにドンキがあれば、
「シャンプー切れたし、トイレットペーパーも買っときたいから、メシのあとドンキに行かない ? 」
となります。
夫婦で夜中ドンキをぶらぶら。
シャンプーとトイレットペーパーの補充が、平日の夜中のちょっとしたレジャーになるのです。

考えてみれば昔から、ホームセンターやディスカウントストアにもこの種の「レジャーの芽」はありました。
お目当てのモノを探して店内をぶらぶら、そこで何か面白いモノを見つけたり。
それを品ぞろえ・圧縮陳列・深夜営業で見事にデフォルメしたのがドン・キホーテではないでしょうか。

最近話題になったアマゾンの「ダッシュ・ボタン」。
日用品の横に貼ったボタンを押すだけで補充品が配達されてくるやつです。
これは面倒くさいことを解消するためのものです。
ドンキはもっと上を行っています。
面倒くさいことをレジャーにまで押し上げてくれるのです。

アサヒHDの東欧ビール事業買収、で心配なこと

アサヒHDの東欧ビール事業買収、で心配なこと

 

アサヒグループホールディングスが、東欧5カ国のビール事業を8,880億円で買収する、と発表しました。
5カ国は、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア。
売主は、ビール世界最大手の、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)。
「バドワイザー」を生んだアンハイザー・ブッシュ(米国)を、2008年にベルギーのインベブが買収してできた会社です。

ネットニュースによると、今回の買収の背景には、売り手側の独禁法絡みの事情もあるようです。
その売り手側の事情に、アサヒが乗っかった感じでしょうか。
国内のビール市場が伸びない中、海外での成長を目論むアサヒにとっては、「渡りに船」だったのかも知れません。

この買収に、少し心配なことがあります。
「買収に8,800億かかる」とか、「本当に儲かるのか」とか、そういうことではありません。
ビールの本場の国々で、日本企業がビール事業を支配してよいのか、という懸念です。
買収先の中には、世界最初のピルスナービール、チェコの「ピルスナー・ウルケル」も含まれています。
それらの国で、もしビールが「食文化」の一部に位置付けられるようなものであるなら、それは永い時間をかけて、土地に、人に根付いたものです。
日本企業がそれを支配することは、好ましいことには思えません。
「食文化」をある程度共有してきた欧米の会社が買収するのとも、少し意味が違うような気がします。

このような企業や事業の買収においては、それが「工業製品」なのか「文化」なのかが大切な判断基準になるのではないでしょうか
「工業製品」ならOK、「文化」ならNG。
他国の神社仏閣、お城には手を出してはいけないのです。
日本企業がかつて買収した「ロックフェラービル」もアメリカの「文化」だったのです。

相変わらず好調、「ドン・キホーテ」➀

相変わらず好調、「ドン・キホーテ」

 

相変わらず、ドン・キホーテが好調です。
2017年6月期も過去最高益になる見込み、これで28期連続増益です。

ドン・キホーテには、ちょっとした思い出があります。
十数年前に、本社の部長さんとお会いしたことがあります。
用件は、私たちの会社の新業態を、ドンキ内にテナント出店できないか打診したのです。
その業態は当時まだ一般的でなかった「ジュエリーのリサイクルショップ」。
始めて1年、まだ2店舗しかない状況で、3店舗目をドンキ内に出そうとしたのです。
そんな実績もない店の話を、部長さんは丁寧に聞いてくださいました

同時に、ドンキのテナント集めの考え方なども教えていただきました。
それはこんな話でした。
「ドンキは、常に他のSC(ショッピングセンター)との差別化を考えている。
テナント集めも、大手SCの「逆」を行く
だから大手SCに入っているようなテナントは入れない。
だから大手SCに出店していないお宅には興味がある。」

当時、大手SCのリーシング担当者ともよく会っていたのですが、どのデベロッパーも同じようなテナントを欲しがるのに辟易していました。
それだけに部長から聞いたドンキの「逆張り戦略」は、とても痛快で鮮烈なものでした
結局出店には至らなかったのですが、私はそれ以来ドンキのファンになりました。

あれから十数年が経ち、大手SCが苦戦する中、ドンキは躍進を続けています。
これは、当時私が聞いた部長の話とつながっているのではないでしょうか。

店舗を捨てたスイーツショップ

店舗を捨てたスイーツショップ

 

知人のスイーツショップは、楽天市場だけで商品を販売しています。
楽天に出店をして2年3か月、まだ売上規模は小さいですが
1年目の年商  720万
2年目の年商 1,850万
3年目の年商見込み 2,300万
と順調に売上を伸ばしています。

実は楽天に出店する前は、リアル(実)店舗で販売していました。
その店では集客に苦戦し、知人は資金的にも精神的にも大変苦しんでいました。
現在はスタッフも最小限にして、小さいながら着実に売上が伸びているので、苦しみから解放されているようです。

小売業で一番重要なものは「店」です。
しかしその店づくりに失敗すると、「店」そのものが重荷になります
店の要素「人・モノ・器」すべてが重荷に。
知人はその苦しい体験から、実店舗を捨てました。
もうお客を待つのをやめたのです。

今でも東京のど真ん中でスイーツを作っているのですが、あるのは厨房と出荷場だけです。
それでもたまにお客が来ます。
サイトには住所が出ているので、急ぎのお客が直接買いに来るのです。
でもそこは出荷場ですから、お客もそのつもりで見てくれます。
清潔にしてあれば、飾る必要はありません。
スタッフも食品製造用のネットを被ったまま応対します。
最近は近隣のお客が、口コミで買いに来るケースも増えているとか。

ネット販売+出荷場販売。
実店舗を持たない小売業もアリです。

親のコネで入社しても、長続きしない理由

親のコネで入社しても、長続きしない理由

 

たまに取引先や知人から、自分の子供を雇ってくれないかという相談を受けます。
実際には、
「今募集はしてないか」
「一度面接だけしてくれないか」
という言い方です。
しかし結局は、「雇ってくれないか」ということです。

本当に親しい友人であれば、やめておいた方がいいと答えます。
それでも「是非」と言われれば、面接をして採用することもあります。
しかしそういう採用で入った子は、長続きしないことがほとんどです。
これには2つの理由が考えられます。
➀ もともと親が心配するくらいだから、本人に何らか足りないところがある。
親が選んだ仕事だから、本人がその仕事に執着心を持てない
どちらかというと➁の方が強いです。

ところで、心理学で「自己正当化の圧力」というものがあります。
これを「選択」に当てはめれば、「自分が選んだもの・ことに、間違いはなかった」と思いたい心理が働くのです。
自分が買った車はカッコいい車だ、選択に間違いはなかった。
自分の結婚相手は最高の人だ、選択に間違いはなかった。
自分が選んだ会社はいい会社だ、選択に間違いはなかった。
となるわけです。

自分が調べて、見つけて、選んで、応募した会社であれば、いい会社だと信じる力が自然に強くなるんですね。
この信じる力で2年もてば、仕事が面白くなる段階に入ります。

できるだけ自分で選ばせることが大切です。