ニュース漬けからの脱却

ニュース漬けからの脱却

 

テレビのニュース・報道関係番組で最も視聴率が高いのは、
19時から始まる「NHKニュース7」です。
その視聴率は17%、大河ドラマ「おんな城主 直虎」が13%前後ですから、相当な高視聴率です。

このニュース7は昔からこんなに高視聴率だったわけではないそうです。
高齢化が進み、特に団塊の世代がリタイヤして家に早く帰るようになったこともその要因になっています。
現役時代は遅くまで仕事をしていた男性が、リタイヤして家にいる。
嘱託で引き続き仕事をしている男性も、定時に終わるので早く家に帰る。
で、そんな日本中の男性が7時になるのを待って一斉にNHKにチャンネルを合わせるんですね。
そういう私も7時までには家に帰り、ちゃんとNHKにします。
何か全国の男性陣とつながっているような、同志のような感覚になります。

私の場合、その後も惰性でNHKの番組を見て、そのまま「ニュースウォッチ9」
こちらも視聴率は10%を超えています。
でそれが終わると「報道ステーション」にバトンタッチ。
こちらは13%程度。
11時からは経済ニュースの「ワールドビジネスサテライト」
4%台。
11時半からはユアタイムに引き継ぎ、こちらは3%台。
帰宅してから寝るまでニュースばかり。
当然同じ内容を何度もなぞることになります。

一年くらい前、自分がそんな「ニュース漬け状態」になっていることに、ハタと気がつきました。
いくら体に良い食べ物でも、それだけを食べ続けるのはダメでしょう。
で、週3本ほどドラマを観ることにしました。
どのドラマでもいいのですが、周囲の人からおススメを聞いて、「毎週録画」にセットします。

今さらですが、観てみるとどのドラマも面白いです。
オッさんでも笑えて泣けます。
考えてみれば、ニュースを見る時の自分は、本当に無表情です。
ニュース漬けは、「無表情の固定化」です。
ドラマで表情が変わるだけでも、ありがたいことです。

社長は常に、情報「圏外」にいる

社長は常に、情報「圏外」にいる

 

ほぼすべての会社で、社長に正確な情報が上がっていません
社長が厳しいタイプであっても、優しいタイプであっても、正しい情報がそのまま上がることはありません。

報告する側についても、役員であろうと、新入社員であろうと同じです。
➀ 社長の顔色・機嫌を伺い、
➁ タイミングを計り、
➂ 自分に危害が及ばないように言葉を選び、
➃ 若干の脚色を加えたものをオブラートに包んで、
➄ 場合によっては、都合のいい話に差し替えて、
報告します。
しかし、このちょっとした脚色や薄いオブラートでさえも、社長の間違った経営判断の原因になることがあります。

どの会社にもあるこの問題を、どうすれば解消することができるのか。
結論は、社長が「間違えないための能力」を身につけるしかありません
報告する側の社員を変えることは非常に難しいことです。

社長が身につけるべき「間違えないための能力」とは、
1. 社員は自分に正しい情報を伝えない、それが現実だと割り切る力
2. 経営や営業に関する情報を、数値で正確に把握する力

この2つの能力を身につけた社長は、社員からの報告を鵜呑みにしません。
社員から報告を受ける時には、自分の中にあるデータとの整合性をチェックします。
報告が自分のデータと相反するものであれば、それを究明します。
つまり、社員の報告も一つのデータとして受け取るのです。
ザックリとした社員の報告を鵜呑みにして右往左往したり、一喜一憂することはありません。

社長がそのように、社員の報告を一つのデータとして情報処理するようになれば、社員の脚色もだんだん少なくなるでしょう。
すべては社長次第です。

金融庁の叱咤激励で、地銀のバラマキが始まる

銀行

 

最近、日経新聞で金融庁と地方銀行に関する記事が続きました。
<5/25 朝刊> 金融庁、健全地銀に人材を派遣
<6/8 朝刊> 地銀の運用依存是正

最初の記事は、地元企業への融資を積極的に増やしていこうとする地方銀行には、金融庁が有能な人材を「お手伝い」として派遣しよう、というもの。
「有能な人材」とは具体的に、メガバンクOBで金融ノウハウをもっている人や、大手企業OBで企画・人事の専門知識をもっている人など。
これまで金融庁が銀行に人を送り込むのは、経営危機に瀕した場合に限っていたので、「健全」な地銀に対しては今回が初めてです。

次の記事は、マイナス金利の状況下で、地銀が高い利回りを狙って国債や外債での運用を増やしていることに対して、金融庁がストップをかける、というもの。
一定の保有制限を設けて、それ以上に運用残高が増えないように。

この二つの記事のテーマは同じ、
「地銀は、もっと地元企業にしっかり融資しろ!」
という、金融庁の叱咤激励です。
地銀の本分は、金融で地域経済を支えること。
地域で将来性のある会社を発掘・資金投下して大きく育てる。
破たんしそうな会社は、早めにテコ入れして再生させる。
再生が出来ないなら整理して、地域経済に与える影響を最小限にする。
それを金融庁は求めているのです。

もっともです。
地方銀行は、その地域から逃げられません。
地方に出店しているメガバンクは、その店をたためば逃げることも出来ます。
しかし地銀はそうはいきません。
その地域にあるから地銀なのです。
長い目で見れば、地域経済が活性化しない限り、そこの地銀も永続できません
地銀はその地域にある金融を、清濁併せ吞まなくてはいけないのです。
美味しいとこどりはできません。
パイがどんどん小さくなっているのですから。
地銀は今、その覚悟を迫られているのです。

いずれにしてもこの金融庁の叱咤激励で、地銀は貸出増のために必死に営業活動することになるでしょう。
そしてバラマキ融資が始まります。
しかしこれは必ずしも悪いことではありません。
地方の景気上昇に唯一欠けているピースは、「銀行の貸出増」なのですから。

< 2017/4/27 かんたん説明、「信用創造」➁ >

個人消費は、もうすぐ急増する

個人消費は、もうすぐ急増する

 

先日テレビ番組で、「なぜ個人消費が増えないのか」というテーマで経済評論家の方々が議論していました。
「ふんふん」と納得する意見もあれば、「んー、そうかなー」という意見も。

私は「個人所得の総額」つまり「国内で支払われた給与の合計」が増えさえすれば、必ず「個人消費の合計」も増えると考えます。
雇用形態が正社員であろうとパート・アルバイトであろうと、金額が高給であろうと最低賃金であろうと構いません。
国内の給与総額が増えさえすれば良いのです。
なぜなら、ほとんどの人は、もらった給料をほぼ全額遣い切るからです。
賃金の上昇率だの物価の上昇率だのは、あまり大きな問題ではありません
「給料全額遣い切りの法則」がある限り、国内の給与総額が増えれば、個人消費は当たり前に増加するのです。

テレビに出ていた評論家の一人は、
「最近増えている主婦のパートは、もともと家計の補てんのために働き始めたのだから、給料をなかなか消費に回さない」
と言っていました。
そんなことはないでしょう!
今のパートさん世代は、バブルを少し経験した消費意欲旺盛な世代です。
そんな「おしん」みたいなパートさんはいません。
家計の補てんも結局は消費、通勤のために買った服もバッグも、働く自分へのささやかなご褒美も消費。
あれば全部遣ってしまいます。

20代の若い子たちを、「車にも興味がない」「酒を吞まない」「消費しない」世代と定義する向きもあります。
しかし彼らは、自分がのめり込んでいる分野には、しっかりお金を遣います。
消費をしないのではなく、消費する場所が変わったのです。

ところで、「給与全額遣い切りの法則」の例外があります。
それはIT長者のように、年収1億超の人たちです。
彼らには、「給料全額遣い切りの法則」は当てはまりません。
この10年くらいは、そういう長者が次々に登場しました。
この間は国全体の個人消費は上がってこないのです。

今の状況は違います。
求人倍率、雇用状況を見れば、国全体の給与総額が急増する勢いです。
しかも、「給料全額遣い切りの法則」がバッチリ当てはまる人たちの給与総額が急増するのです。
間違いなく、これから個人消費は急増します。

ただし忘れてはいけないことがあります。
それは個人消費の回復が、例えば百貨店の売上回復に直結するわけではないということ。
過去の消費の形に戻るわけではないのです。
これから急増する消費がどこに向かうのか、しっかり観察する必要があります。

「裏日本」なんて、今は昔

「裏日本」なんて、今は昔

 

少し前の日経新聞で、「鳥取・境港のコンテナ取扱量が増えている」という記事がありました。
詳しいことは分かりませんが、中国絡みの荷物が増えているのでしょう。

ところで中国からアメリカに行く船のほとんどが津軽海峡を通るそうです。
つまり下関から瀬戸内海に入るのではなく、日本海を津軽海峡まで直行して、太平洋に出るんですね。
トランプさんが就任前に大騒ぎしていたくらい、中国からアメリカに大量にモノが流入しています。
ということはこの日本海の航路は、GNP世界1位と2位を結ぶ、世界でもトップクラスにモノが動いている「海の大動脈」ということになります。
一昔前まで日本海側を「裏日本」と言っていましたが、貨物の往来に限って言えば今やこちらが「表」かも知れません。

ウィキペディアによると、近代以前は日本海側を「内日本」、太平洋側を「外日本」と呼んだそうです。
考えてみれば神代の昔から、モノも文化も大陸から来たわけですから、こちら側を「内日本」と言うのもうなずけます。

境港の取扱高が増えたということは当然、境港発着の陸送も増えたということ。
逆に、米子道や山陰道など周辺道路が整備されたことも、コンテナが増えた要因なのかも知れません。
日本海側には今後も中国と米国を結ぶ「海の大動脈」が、あり続けます。
一方、工業地帯は太平洋側にあります。
これを陸路でうまく結ぶことが出来れば、日本海側の港にはまだまだ成長のチャンスがありそうです。