ゴルフ練習場に転がっている「10円玉」

ゴルフ練習場

 

ゴルフ練習場に行くと、フェアウェイにたくさんボールが転がっています。
お客さんが打ったボールですね。
ゴルフ練習場の経営者から見ると、あれはボールではなく「10円玉」です。
正確に言えば練習場によって8円玉だったり15円玉だったり。
お客の打球音の数だけ10円玉が飛び交っているのです。
 
以前ゴルフ練習場の立ち上げに携わったことがあります。
最初のボール単価の設定は非常に悩みます。
近隣の練習場の価格を調査したり、売上予測から損益のシミュレートをしたり。
それでも確たる自信もないままに、決定した料金は、
「いつでも19円、その他の料金一切なし」でした。
 
練習場の多くは入場料や夜間照明料を取ったり、土日の単価を上げたり、平日8時以降の単価を下げたり、非常に複雑な価格体系になっています。
見方によってはお客の足元を見た「取らんかな」の価格体系にも思えます。
 
結果、「いつでも1球9円」はお客さんにとても歓迎されました。
毎日会社帰りに20だけ打って帰るシングルプレイヤーもいらっしゃいます。
また、予想していなかったことですが、土日早朝のお客が非常に多く、それはゴルフ場に行く前に30練習する方々だそう。
「いつでも9」をお客さんは、「チョイ打ちOK」と受け取ってくれているのです。
 
余談ですが、今タクシー業界も初乗り料金を下げる動きがあります。
運転手の機嫌を伺うことなく、「チョイ乗り」が出来たら、もっとタクシーを使うのではないでしょうか
 
入場料や初乗り運賃を出来るだけ下げて、お客さんが「チョイ打ち」「チョイ乗り」しやすくすれば、確実に客数増・売上増につながります。
なぜなら、「チョイ打ち」「チョイ乗り」したいお客さんは、現在取り込めていないお客だからです。

「がめつい」社長たち

「がめつい」社長たち

 

これまでにお付き合いがあった社長の中には「がめつい」人が何人かいます。
そういうがめつい社長たちはよく似ています
 
前日の売上が悪ければ、マネージャーに電話して長々と怒鳴り散らす
安月給のマネージャーに。
売上が良ければすこぶる機嫌がいい。
何か思いついたら、熟考することなく、すぐあっちこっちに電話する。
声が大きい。
傍若無人。
会社が儲かれば法外な役員報酬をとる。
家族を役員にして役員報酬をとる。
一緒に喫茶店に入っても、めったに財布を出さない。
業界の中でも煙たがられる存在。
仕入先に無理難題押し付ける。
あんなに頼み込んで入った商業施設なのに、売上が悪いとすぐ撤退しようとする。
 
尊敬できるところを挙げろと言われても困ってしまいます。
決して経営雑誌に特集されることはないでしょう。
もちろんカンブリア宮殿にも。
 
しかし私が知っている限り、そんな社長たちの会社はことごとく儲かっています
しかも長い年数連続で。
私が知っているがめつい社長たちの会社、アパレル、雑貨、鈑金、ビル清掃など業種によらず、よく儲かっています。
 
 
「がめつい社長」を変わり者として切り捨てることは簡単です。
しかし、そのがめつさと業績の関係を考察することなく切り捨てるのはもったいない気がします。
上に書き並べたことの中にも、学ぶべきところがいくつもあるのではないでしょうか。

よく考えてみると、私にはマネできないことばかりです。

パチンコは必要か、不要か

パチンコは必要か、不要か

 

取引先の採石会社の社長と話をしたときのこと、ひょんなことから「パチンコは必要か、不要か」という話になりました。
その社長は「パチンコは必要」とのこと。
 
理由はこうです。
その会社の採石場は市街地に近い立地にあり、ハッパ(ダイナマイト)を使うことが出来ません。
ですから従業員はユンボ(パワーショベル)で、ガリガリと岩肌を削って、石を作っていきます。
来る日も来る日も、朝から夕方まで物言わぬ岩に向き合ってガリガリガリ
石を採りつくして採石が終わるのが、何十年先なのかも分かりません。
そういう仕事をしている従業員に、今日の作業目標は与えられても、「将来の目標を持て」とは言えないとのこと。
そんな従業員たちの日々の楽しみは仕事が終わってからのパチンコと、家に帰ってからの晩酌だそうです。
パチンコと晩酌は彼らの原動力、だからパチンコは必要というわけです。
 
その話を聞いて、とても考えさせられました。
世の中にはいろんな仕事があり、いろんな人がいろんな目的で働いている。
仮に10年後の目標を持っていない人がいたとしても、それを簡単に否定することはできないなと。
立身出世が常に正しいわけじゃない。
その採石会社の子たちが削り出す石がなければ新しい道路を作ることはできません。
 
パチンコの要不要は置いといて、気づきのあるお話でした。

「人」を評価するのではなく、「仕事」を評価する

「人」を評価するのではなく、「仕事」を評価する

 

 

多くの会社で、半年もしくは一年に一回、人事評価をします。
「社員を正しく評価する」というのは簡単なことではありません。
しかしそれをよけい難しくしているのは、評価者(上司)の認識不足によるケースも多いです。
 
以前人事コンサルタントから
「人事評価というのは、人を評価するのではなく、仕事を評価すること
と教わりました。
これは金言です。
人事評価が難しくなるのは上司が部下の「人」を評価してしまうからです。
 
人を評価しようとすると、人の内面にまで踏み込んでしまいます。
仕事を評価するなら、目に見える成果物や言動を評価すれば良いのです。
 
人を評価しようとすると、上司の先入観や好き嫌いが影響します。
仕事を評価するなら、客観的に評価しやすくなります。
 
人を評価すると、それに対する対策も「人を改善する」ことになり、非常に難しくなります。
仕事を評価すれば、それに対する対策は「仕事の仕方を改善する」ことになり、即効性があります。
 
「仕事を評価する」というと、表面的な評価になってしまうように思われるかも知れません。
決してそんなことはありません。
仕事の成果物を増やしたり言動を改善していくには、当然部下の内面の変化・成長も必要です。
大切なのは上司と部下が「仕事をどうするか」を話し合うことで、間接的に部下の内面の成長を促すということです。
 
最悪な面談は「そもそもお前は・・・」と部下の内面に切り込むことから始める面談です。

麻布十番の焼き鳥屋で盗み聞き

麻布十番の焼き鳥屋で盗み聞き

 

 

知人と麻布十番の焼き鳥屋で食事をしていたときのこと。
私たちより少し後にバックパックを背負った30歳前後の男性が入ってきました。
待ち合わせをしていたらしく、すぐに同世代の男性2名が来ました。
その2人もバックパックでした。
3人の話が始まり、なんとなく聞こえる話を聞いていると、だんだんそっちが気になってきました。 
どうも3人は大学か最初の会社が一緒で、今はそれぞれ違う仕事をしているよう。
で、その日は久しぶりのミーティング。
一人は自分で事業を起こしているが、今は少しトラブルを抱えている。
一人は会社で仕事をしながら、自分で福祉関係のアプリを開発している最中。
もう一人も何か起業を考えているよう
 
で、聞こえてくる会話は
「今度のGoogle翻訳すごいよな。もうビジネス文書だったら英語の勉強なんか必要ないんじゃない ?」
仕事でトラブルが起きるのは、悪いことじゃないと思うよ。
ちゃんと前に進んでるってことじゃん
「会社の仕事なんて、昼までに済んじゃうよ。
だから昼からはずっと自分のアプリ作ってる
今独立することにそれほどリスクはないんじゃないかなー。
もし失敗したって、そのあと仕事に困ることなんてないでしょ
などなど。
 
起業家を目指す若者たちが、麻布十番の焼き鳥屋で情報交換。
六本木ヒルズに近いこの辺りではよくある光景かも知れません。
しかし、実際に若者が熱っぽく話しているのを見ると、何か嬉しい気持ちになりました
 
それともう一つ。
昭和生まれの私は、バックパックを背負って会社に行く、それも自転車に乗って、というのはどうもうさん臭いイメージをもっていました。
ちゃんと仕事してるのなかあ、と。
でも今回、少し見方が変わりました。
バックパッカーも結構ちゃんとしていて、やりたいこと見つけて頑張ってるんだと。
応援したい気持ちになりました。